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電話じゃ迷惑!?時間に縛られないメール伝達を極める

営業活動を効率よく行うには、営業マン同士でうまく情報をやりとりして効率よく得意先を回ることが必要。ところが、ゴールデンウィークのような長期休暇が入ると、情報の引き継ぎを忘れたり、休暇前の作業内容を忘れたりするうっかりミスが!どうしたら社内スタッフ間で上手に情報共有できるか、営業戦略に再起をかけたお話です。
会議いらずのメーリングリストを活用して時間を効率的に使おう
 景気がよくなってきたとはいっても、少人数の会社がその中で生き残っていくのは大変。そのためには少ない社員を効率よく運用して最大限の成果を上げることが大切です。とくに他社との直接競争となる営業面では、情報の共有が不可欠といえます。
 今回のキヨウ工場(こうば)は小さな鉄工所。設立は昭和1ケタという長い歴史を持ち、ミクロン単位の鉄板を隙間なく溶接する高い技術を持つ熟練技術者の多い企業です。ところが、キヨウ工場は素晴らしい技術を持つのにもかかわらず、経営はうまくいっていません。累積赤字は2500万円を超え、会社の規模から考えると、このままでいくと近いうちに倒産しかねない、まさに存亡の危機といえる状態だったのです。
 キヨウ工場を長年率いてきたP社長は、このまま自分がキヨウ工場を経営しては、時代にあった運用ができないと感じました。悩んだ末、P社長は引退を決意して別の会社に就職しサラリーマンをしていた息子のMさんに経営を任せることにしました。
 新たに社長となったMさんはキヨウ工場の問題点を洗い出しました。その結果、高い技術を持ちながら会社の経営がうまくいかなかったのは会社の営業能力にあると分かったのです。前社長は技術畑で、営業軽視だったのです。
 そこで、M社長は営業スタッフの再教育をして、これまでの得意先から新規顧客に対して営業活動に力を入れることにしたのですが……M社長もスタッフも経験がないためか、これがなかなかうまくいきません。
 とくに問題なのがスタッフ同士の情報共有。ゴールデンウィークのような長期休暇が続いた場合、スタッフ間での引き継ぎがうまくできていないまま営業に行ってしまい、現地で怒鳴られてしまったこともあります。
 毎日、営業会議などをしてうまく引き継ぎができればよいのですが、キヨウ工場は小さな会社ですので、一人のスタッフが営業以外にも事務や他社との会合などの業務を兼業しています。このため毎日同じ時間にM社長を含めたスタッフが顔を合わせて打ち合わせするのはなかなか難しいのです。
 M社長は悩んだ末、サラリーマン時代の経験を元に対策を考えました。そして考えついたのが、携帯メールを使ったメーリングリストと掲示板を使って情報共有を行うことでした。
携帯+メーリングリスト+掲示板で情報共有をうまくやろう
 メーリングリストとは、一つの議題についてメールで情報交換を行うシステムのことです。一つのメールアドレスにメールを出すと、登録されているスタッフ全員にメールが届く仕組みです。メーリングリストはさまざまな分野に活用されていて、ビジネスはもちろん、趣味やイベントの連絡まで活用されています。
 キヨウ工場の例で言えば、休暇中でもメーリングリスト宛のメールを携帯で受け取ることができるようにしておけば、顧客との事業の進捗状況が分かります。また、社員全員で情報を共有できるので、担当者が休暇中でも、引き継ぎをスムーズに行うことができますし、プライベートなメールアドレスを顧客に教える必要もなくなります。
 このほかのメリットとしては、運用コストが安いこと、ITの知識が少なくても使えることが挙げられます。コストの面では、メーリングリスト用のサービスは提供している企業が非常に多く、なかには無償で利用できるところもあります。機材も携帯電話と通信コストだけでよいのがメリットです。メールさえ打てれば、スタッフにパソコン等のIT技術がなくても使えます。社員教育の手間がほとんど必要ないのです。
 社員の連絡用だけではなく、会社の窓口用のメーリングリストを一つ作成しておくことで、顧客からきたメールも共有できます。メールで顧客からのリクエストが来た場合、メールが来た当日にすぐに営業に行くことが可能になり、いちいち会社に戻ってスケジューリングする必要はありません。
 メーリングリストは携帯だけでなく、パソコンからも利用できます。社内に残っているスタッフが電話で受けた情報をパソコンから送ったり、社長がメールの内容を把握して、顧客のリクエストに合わせた対応策を現場の技術者に検討させることも可能になったのです。
 上記のようにメーリングリストは便利なものですが、一定の期間を過ぎてしまうと目的の情報を探し出すのが難しく議事録として情報を残すには不便な面もあります。
 手軽に情報をまとめるのに便利なのが掲示板です。インターネット上で公開されている掲示板プログラムの中には、検索機能を含んだものや、携帯とパソコン両方に対応したものなどさまざまな種類があり、目的の機能を持ったものが簡単に探せるというメリットがあります。
 掲示板の中にはスレッド方式と呼ばれる表示方法があります。スレッドとは、端的に言うとテーマのこと。スレッド方式の掲示板では、スレッドの一覧機能が付いており、最後に書き込みが行われたスレッドが一番上に表示されるため、情報の更新も一目で分かります。このためテーマごとの管理がしやすく議事録が作りやすいのが特徴です。ただし、情報が漏洩する可能性があるので掲示板を設置する際は掲示板にアクセス制限を設定し、管理する必要があります。
 こうしたメーリングリストと掲示板の機能を兼ね備え、スタッフのスケジュール管理機能を持つグループウェアというツールもプロバイダなどから提供されています。(参考記事
http://www.ntt.com/bizit/navi/it/schedule.html
営業効率が格段に改善
 M社長は営業体制の見直しを行いました。メーリングリストを取り入れることにより、営業情報の共有はもちろんのこと、現場のスタッフからの対応策や助言も得やすくなり、営業がしやすくなりました。またキヨウ工場はもともと高い技術力があったので、知名度が上がると受注が安定するようになりました。これにより、2年目で黒字経営に転じ、これまでの累積赤字の返済も進みはじめ、融資の話も来ているそうです。
 先代は技術力に自信を持つが故に、営業をおろそかにしてきました。しかし、現在では技術だけではなく、窓口の対応や小回りのよさも生き残りには不可欠です。M社長は改めて営業戦略の大切さを思い知りました。
チェックポイント
1
少人数の営業で他社に勝つには効率化が重要
2
小規模の情報共有にはメーリングリストが便利
3
プロジェクト進行にはメーリングリストより掲示板やグループウエアが向いている
診断士コメント:
「情報は社内で共有してこそ、利用価値が上がる。
どうやって多くの従業員が情報を共有できるか、ITも使って考えてはいかがでしょうか。」
四ッ柳 茂樹/有限会社OCL 取締役社長 中小企業診断士・ITコ−ディネ−タ