
豊かになった現代社会でも、生活に困窮している人やDV被害者など緊急の援助を必要としている人は決して少なくない。同事業団では東京23区の福祉事務所と連携し、こうした人びとの生活の安定の第一歩となる施設の運営を行なっている。施設を利用するにあたっては法律で要件や手続きがきちんと定められているため、コンプライアンスは基本中の基本。個人情報の保護は、最優先課題である。
「事業団で受託している施設は、個人情報の塊と言えます。とくに、利用者支援をするうえで踏み込んだ事情を聞くことになります。たとえば、結婚歴の有無や今までの生活状況等々。つまり、ハイレベルの個人情報が多く集積されるんですね。もちろんわれわれも規程に基づいた慎重な取り扱いに気をつけていますが、ネットワーク社会のなかで個人情報をどう守り抜くかは重要な課題でした」(釜田和幸・同事業団 緊急一時保護センター 千代田寮・所長)
同事業団の運営する施設は、福祉施設13カ所と路上生活者の緊急一時保護施設・自立支援センター施設の2カ所。年間の利用者は2000人を超える。施設は都内各所に分散している上に、職員は3〜5人という小規模の施設もある。拠点間のスムーズな情報共有と業務の効率化は、同事業団のメンバーにとって切実な問題だった。
「各拠点がスタンドアロンのコンピュータで事務処理を行い、必要な連絡は電話やFAXを使ってきました。でも、小規模な施設では、どうしても閉塞感が起こりがちです。また、例えば緊急に備品の在庫状況を確認する必要があったり、ミーティングの日時を決定したいと思っても、担当者がつかまらない場合も少なくない。みんな忙しいですから小さなロスが日常的に起こるんですね。ネットワークとメールの時代に、これはないだろうというのが正直な気持ちでした」(萩原景節・同事業団 経営管理課分室)
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