
「こんなものができないか」「こうした製品がほしいんだけど」。日之出製作所には、こんな問い合わせがひっきりなしに入る。その多くは汎用品では間に合わない特注を要するもの。過去の製品リストにはH2ロケットの燃料バルブ用シール、濃縮ウラン再処理用金属ガスケット等々、ビックリするような品名が並んでいる。
「スペースシャトル発射台の軸受け用シールをつくったこともあります。ハリケーンで破損したので2週間で8セットほしいとの注文でした。100%受注生産、どんなニーズにも短納期で応えられるのが、当社の強みです。実際、シールは機械を分解したとき最後に出てきますし、組み立てのときは最初に必要。お客様は必要があるから、当社に依頼されるんです。『困っているお客様を放っておくな』が、創業者である父の信念。素早い対応力は、当社の生命線ですね」(篠原裕一・代表取締役社長)
クライアントや工場とののスペックの受け渡しはFAXでというのが、これまでのやり方だった。当然、通信コストはそれなりにかさむ。スペック通りが製品づくりの基本だが、FAXでは細かな字が読み取りにくいことも少なくなかった。また、営業担当者が外出中に客先からFAXが届いても、帰社するまで机の上に置かれっぱなしになりがちである。どこの会社にもありがちな状況だが、ここでレスポンスが滞ってしまう。できれば改善したいという思いを、篠原社長は抱いていたのだった。
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日之出製作所の売上のうち、65%は単品生産。特定の用途と特定の客先のためにつくられた代替えのきかない製品である。当然、付加価値は高く、販売価格も高くなる。
「導入して半年たったころでしょうね。単品生産の比率が目に見えて上がってきました。営業マンがシステムを利用して、その場でお客様に適切かつ正確な応答ができるようになった。製造工程の混み具合もわかりますし、どの技術者がどんなものが得意か、自社にはどんな技術があるのか把握できるからです。だから、注文も増え、付加価値の高い製品が占める割合が増えた。昨年の実績で、単品生産比率は5%上昇し、純利益は32%も増加した。社員に還元しようと、ボーナスを年3回支給し、全員でオーストラリアへ行ってきました(笑)」
利益の増加率は、導入前の2倍強。通信コストはホスティングサービスとOCNドットフォン オフィス等を組み合わせることで、今年6月の実績は月額8万円ダウン。質の高いサービスと使う人の知恵と先見性とのマッチングは、素晴らしい成果を生み出したのである。
「次のテーマは、指示系統のペーパレス化かな。当社がつくる製品と同様、作業工程もロスやばらつきを減らしていきたい。効率的かつ働きやすい環境は、社員のモチベーションを自然に向上させますから」
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