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ICT用語ガイド

GUIDE 028 18号報告書

〜内部統制を円滑に進めるために〜
2008年06月25日公開

パート2  18号報告書が備える可能性

受託会社への「信頼評価の効率化」は始まったばかり

Q多くの企業が内部統制の推進に苦慮していると聞きます。それはどういう理由からなのでしょうか?

青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科 松尾 明 教授

松尾 内部統制とは、その企業が持っている「ありとあらゆるもの」の信頼性を評価する作業です。一般には「資産や財務、業務などを監査すること」くらいの理解しかないと思いますが、それだけではありません。ヒト、モノ、カネだけでなく経営に関わるすべてが内部統制の対象。最終的には、その会社の価値観やカルチャーというものまで、評価していくことになるのですから、そうそう容易に進められるものではないのです。

Qアウトソーシングが多くの企業経営に定着しているからこそ、18号報告書の価値が今注目されているのかと思いますが、以前はどうだったのでしょう?

松尾 例えば関連企業を監査する法人同士が集まって会議を開き、皆で一緒に監査を進める、というような手法が、つい最近まで定着していた業界もあります。効率性という視点で見れば、きわめて非効率ですが、それが「日本流」であるかのように捉えられていたのです。ところが、あらゆる業界がグローバル市場で世界の企業と競争をせざるを得なくなりました。合理性、効率性をもって信頼性を明示しなければいけない。そこでまず注目されたのが米国のSAS70であり、その後日本の18号報告書が活用されているということになります。

18号報告書を入手したデータセンター事業者の優位性とは?

Q今後は、やはり18号報告書を入手している事業者が、アウトソーシング・サービスにおいて、より有利になるのでしょうか?

松尾 国際的に定着している信頼の尺度として、ISO(国際標準化機構)が定めたISO9000シリーズという規格があります。これは、「顧客の求める製品やサービスを、安定的に供給できるマネジメントシステムを確立している」と認定された企業だけが取得できる規格。「信頼の証し」といってもいいでしょう。では、このISO9000と同じような作用が18号報告書にあるかというと、少し性質や意味合いが異なります。

Qそれは、どういった点ですか?

松尾 18号報告書の取得や活用は、まだ始まったばかりです。現状でも一部のデータサービス事業者が今春、日本ではじめて取得した段階です。こうした事業者が今後、顧客企業との連携において、どのようにメリットを出していけるか。それに注目している企業や、後続のサービス事業者も多いことでしょう。

Qいち早く取得した事業者がどれほど成果を上げるか、が問われているわけですね。具体的な注目点としては何がありますか?

松尾 18号報告書は、日本版SOX法に定められた統制項目のいずれかをクリアすれば、その項目ごとに与えられます。例えば「システム障害の受付・発見」については18号報告書を入手していても、「システム障害対応」の項目で入手していなければ、その業務については、あらためて監査しなければいけないのです。つまり、どれだけ幅広い統制項目において18号報告書を入手できているか、も重要なポイントでしょう。

日本版SOX法対応としてよりも世界への情報発信として急ぐべき

Q「手探り」とはいっても、各企業は今、必死で内部統制を進めようとしています。その背景には何があるのでしょう?

松尾 1つは、もちろんのこと新しいルール(日本版SOX法)に対応して、定められた基準を超えなければいけない、という思いからでしょう。しかし、もう1つの理由のほうが、より重要だと思います。それは国際的な資本マーケットの流れと関わります。今やマネーは国境を越えて自由に、大きく動いています。1つの企業を信頼し、将来性を評価して投資しようという投資家や金融機関は、その証明となるものを求めています。世界が納得するような水準の信頼情報を、日本企業が発信できるようになるかどうか。それが問われているからこそ、各社とも必死に取り組んでいるのです。

Q法の適用は始まったばかりですが、現状をどう見ていますか?

松尾 正直にいって、まだまだ欧米のようには進んではいません。先に申し上げた通り、内部統制は経営のすべてを評価する作業ですから、ほんの数ヶ月で完遂するのは無理です。しかし、うかうかしていれば、例えば3年後に信頼性についての品質レビューを行った時に、世界が求める水準に達していなかったり、情報の透明性が進んでいなければ、グローバル市場から置いていかれることになります。18号報告書を業務受託企業が入手していく傾向も、今後は強まるでしょうけれど、大事なことを忘れてはいけません。アウトソーシングをする側も、受ける側も、これから数年の間に、どこまで情報の透明性や信頼性を世界水準にできるか。そうした正当な目的に向かっていかなければいけないのです。

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