法人のお客さま総合 > Business ADVANCE > ICT用語ガイド > GUIDE 026 仮想化技術
パート2 【インタビュー】最前線から考える「仮想化」の未来
今後、さまざまな企業での導入が進んでいくことが予想される「仮想化」技術。その最前線や今後の動向について、第一線で研究に取り組んできた株式会社日本総研ソリューションズ技術本部の宮本保氏と金子仁氏にお話を伺いました。
「注目の技術」である「仮想化」ですが、その浸透度合いはどうなのでしょうか?
金子 実はまだ検討段階という企業が多い。それが日本での実態です。一方、欧米企業ではすでに多くの成長企業が仮想化技術を導入し、活用をしています。
宮本 ビジネスで使われているソフトウエアの多くが、現状では仮想マシンのOS上での動作保証をしていません。つまり、何かあった時にサポートが得られない状況では、基幹系などのシステムに仮想化技術を用いるわけにはいかない、というのが日本企業の考えなのだと思います。
そんな状況下でも欧米企業がいち早く導入している理由は?
宮本 欧米の大企業には、日本企業とは比べものにならないほど巨大なデータセンターを持ち、運営しているところもあります。保有するハードウエア、物理的リソースのケタが違うわけですから、仮想化導入による効率化メリットも、スケールが大きくなります。この違いはやはり大きいでしょう。
金子 日本企業も本音としては、早く導入して効果を得たいはずです。しかし、現状は開発系や情報系のサーバー仮想化が主な取り組みになっています。そして、いよいよ日本でも本格的に仮想化技術の導入が広がりそうな様相になってきてもいるのです。
何かきっかけになりそうな事柄があるのですね?
金子 「マイクロソフトがいよいよ新しいサーバーOSに仮想化機能を盛り込む」というニュースによって、一気に仮想化技術導入の可能性が高まったと言えます。
宮本 これまでにもVMwareやXenが機能を強化することで、注目を集めてきたのですが、今度は局面が違います。仮想化を仮に考えていない企業でも、新しいサーバーを購入したら、そのOSにすでに仮想化機能が入っているかもしれないのです。マイクロソフトのサーバーに限らず、最近では多くのハードウエア・ベンダーが仮想化機能を盛り込むことで製品の魅力を上げようとしています。そうなれば、ソフトウエア・ベンダー各社も仮想OS上での動作保証を出す日が来るでしょう。各社は今、周囲の競合ベンダーをうかがいながらタイミングを計っている状況だと思います。


では本格化も秒読みとなった「仮想化」技術導入について、どのようなメリットに注目が集まっているのか教えてください。
金子 仮想化技術は、実に多様なメリットを生み出す可能性を持っています。サーバーやストレージといった物理マシンを減らすことに目が行きがちですが、私はシンクライアントなシステム・アーキテクチャーにおいて、CPUやメモリのリソースを柔軟に割り振ることができる点、つまり柔軟性のメリットが大きいと思います。
宮本 ハードウエアとソフトウエアの双方が進化したことで、仮想化技術の可能性も広がっているのですが、一方で「新しいハードウエア上では古いOSやアプリケーションが動かない」という悩みを抱える企業も少なくありませんでした。ところが、仮想マシンならば、古いOSも動きます。進歩の著しいICT領域だからこそ、実はこうした部分も大きな魅力になっているはずなのです。
金子 現状でも、企業の開発部門などでは仮想化のメリットをうまく活用しています。例えばネットワーク環境下で動く製品やサービスを開発しようとしている企業の場合、これまでは同じ数、同じ種類のハードウエアを揃えなければ、テストやシミュレーションができませんでした。実用レベルの環境再現に、かなりのコストをかけてきたわけですが、仮想化を用いれば自由に環境を変化させて開発を進めることも可能です。
宮本 単にマシンを減らすことができる、あるいは広いスペースが不要になる、といった既存のメリットとは異なる有効性。これが仮想化技術普及の本格化にしたがって、さらに増えていくことも予想できるのです。
ICTの世界に、実は大きな変化をもたらすかもしれない、ということでしょうか?
宮本 少なくともハードやソフトを提供する企業は、従来の収益モデルだけでは収まらない情勢になるかもしれません。そういう意味では、大きな変化がやってくるでしょう。
金子 ソフトウエアやハードウエアのベンダーのみならず、SI企業やコンサルティング会社なども含めて、今までとは違う取り組みを期待されることになるはずです。どのハードと、どのOSをどんな仮想化ツールで組み合わせるか。どのアプリケーションをどんな目的で仮想マシンに載せるかなど、可能性の広がりが大きいだけに、今後ますます仮想化技術は目が離せない領域になっていくはずです。
