法人のお客さま総合 > Business ADVANCE > ICT用語ガイド > GUIDE 016 インタラクティブ(ユニキャスト)通信
パート1 インタラクティブ(ユニキャスト)通信って何?
IPで行なう通信には、ブロードキャスト、マルチキャスト、ユニキャストがあります。ブロードキャストはネットワーク上の全てのノードに向けた1対多の通信で、マルチキャスト通信とは特定グループに向けた1対多の通信です。ユニキャスト通信とは1対1の通信となり、3つとも片方向の通信となります。インタラクティブ(ユニキャスト)通信とは、疎通が確保されることを基本とした1対1(片方向または双方向)の通信です。



インタラクティブ(ユニキャスト)通信の利用例としてはビデオ・オン・デマンド(VoD)が代表例です。
VoDは既に提供されていますが、これまではインターネット上でPC端末による視聴が主で、アナログ放送に比べて画質はそれほど良いとはいえませんでした。その状況がここにきて変わりつつあります。ハイビジョン画質でVoDサービスがいくつかの企業から発表されるなど、オンラインで高画質のVoDサービスが実現し始めています。
高画質なVoDはさまざまな分野に登場しています。
教育分野において、授業のビデオ撮影を利用したVoDによるe-Learningはこれまでにも行なわれてきました。しかし、黒板に書かれた文字や数式、図などを細かく再現することは困難で、教師と黒板を交代に撮影するなどの工夫が必要でした。受講する生徒にとっては教師と黒板が別々に映されるため授業に集中しづらく、また授業の臨場感に欠けることから、学習意欲を引き出す効果は余り得られませんでした。ハイビジョンを利用した高精細な映像のe-Learningで、教師と黒板を一緒に撮影しても文字を十分判読できるようになり、教室で授業を受けているような臨場感のある教材として提供できるようになっています。
高画質なだけでなく動的に映像データを生成するVoDも登場しています。コンサートライヴ、スポーツ、講演会、手術映像などを収録直後に映像データとしてサーバに保存することで、VoDですぐに見ることができるサービスなどは、視聴タイミングを逃しても、限りなくリアルタイムに近く視聴できることで、これまでにない利用形態を生みだす可能性があります。
放送の分野でもVoDが登場しています。放送は災害など緊急情報の配信や公共の情報を伝える社会的機能を担っています。これら基幹放送※1は地域や天候に左右されず、全国どこでも同じように受信できる強固なインフラとして整備されていなければなりません。
放送はリアルタイムでなければ見られませんが、見逃した情報をすぐ後にオンデマンドで見ることができれば便利です。特に災害情報などは安全確保にもつながります。e-Japan戦略II※2においては、2011年の放送完全デジタル化に向け放送データの利活用が検討されており、デジタル化されたニュースなどをオンデマンドで見ることなども予想されます。今回のNGNフィールド・トライアルでは、アーカイブされた番組のオンデマンド視聴が行なわれており、放送のVoD化の一端をうかがうことができます。
一方オンデマンドだけでなく、インターネットにはリアルタイム性も求められ始めています。インターネットは、蓄積されたデータをオンデマンドで利用する形態が中心で、そもそもリアルタイム性を考慮されたものではありませんが、ブロードバンドの普及や技術の進歩により、オンライントレーディングなどのリアルタイム性を要求される分野が拡大しています。Webアプリケーションにも、ネイティブ・アプリケーション※のようなレスポンスが求められるようになったのです。
あたかもネイティブ・アプリケーションのような操作性を実現する技術として、ページのリロードを行なわずに非同期で画面表示を行なうAjaxがあります。通常httpは一方向の通信で、ブラウザからの要求に対してWebサーバはレスポンスを返すだけです。要求もレスポンスも一方向のユニキャスト通信で、コネクションは維持されません。Ajaxは使い勝手を向上させるための技術で、これまで同様、要求に対してレスポンスを返すという一方向の通信であることに変わりありません。
これに対してCometという技術はWebサーバとコネクションを張った状態を保持し、変更があった場合サーバはブラウザにメッセージを送信します。リアルタイムの双方向通信を実現するもので、現在はチャットプログラムなどで利用されています。
このようにネイティブ・アプリケーションと同じような動作を実現するWebアプリケーションは増えて行くと考えられますが、その場合は安定したインタラクティブ(ユニキャスト)通信が必要となるでしょう。同時にネットワークの信頼性も重要になってきます。リアルタイムでデータの送受信を行なうためには、パケットロスや遅延が起きてはならず、確実にデータが届かなければならないからです。
電話や放送のような安定性、そしてリアルタイム性を求めた場合、インターネットには安定性の問題があります。インターネット標準のプロトコルTCP/IPは、Webの閲覧やftpによるファイルのダウンロードなど、蓄積型のコンテンツをオンデマンドで取りに行くアプリケーションを想定したもので、パケットの再送信などによる情報転送の信頼性は担保されるもののリアルタイム性は持ち合わせていません。さらに回線の問題もあります。現在のブロードバンドはベストエフォート型であり、ネットワークが混雑した場合はレスポンスが悪くなります。Webページの表示やファイルのダウンロードならベストエフォート型でもニーズを満たしますが、リアルタイム性を重視されるデータの送受信に向いているとは言えません。
高画質で安定した視聴を提供するVoDなど、高品質のインタラクティブ(ユニキャスト)通信を実現するためのインフラは、途切れることのない安定性と確実に情報を送信できる品質とリアルタイム性が重視されるため、インターネットでは対応できません。
NGNのコンセプトは、インターネットのようなベストエフォートに加えて、リアルタイム性と疎通の安定性を必要とするIP通信にも対応できるネットワークであることです。
そのために、適切なセッション管理と、帯域制御された高品質のネットワークが必要となります。
NGNは、高品質のマルチキャスト通信、インタラクティブ(ユニキャスト)通信において、リアルタイム性が必要な基幹放送などのコンテンツや、映画など品質が重視されるコンテンツ、双方向でセッションを行なうインタラクティブなサービスのプラットフォームとして、電話や放送のようにリアルタイムでビット欠落のない信頼性の高い環境の実現を目指しています。NGNではインターネットと違い、QoSによる通信品質が確保されます。

NGNでは、VoIPなどで利用されているSIPが重要な役目を果たします。NGNではエンド・ツー・エンドでの帯域を確保する技術であるQoSが通信品質を保証し、SIPサーバによりコネクション管理や帯域管理が行なわれます。それによりUNIで接続されたユーザ(端末)は、SNIにより接続されたVoDサーバやアプリケーション・サーバ、他のユーザなどと安定したインタラクティブ・ユニキャスト通信を行なうことが可能になっています。
