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ICT用語ガイド
GUIDE 015 SaaS(Software as a Service)

パート2 【インタビュー】なぜ今注目されているのか?

SaaSが注目されている理由について、今回はネットワーク事業者として、ASPがSaaSへと進化する過程をつぶさに見てきたブロードバンドIP事業部担当部長の福島博之さんに話を伺いました。

QASPからSaaSへ進化する中で、何が変わったと感じられていますか?

ブロードバンドIP事業部 サービスクリエーション部 担当部長 福島 博之

ASPが登場した1990年代後半とSaaSが広がりを見せる現在では、外部環境が大きく変化しています。ひとつにはブロードバンドが普及したことですね。 ASPが登場した頃と比べ、ネットワークをストレスなく使えるようになったことが大きいと思います。それに伴い、Ajaxなどのブロードバンドを想定した技術が登場し、 Webブラウザでも柔軟性の高いインターフェースを持つアプリケーションが利用できるようになりました。その結果アプリケーションの多様化が進み、高機能で使いやすくなったことがSaaSの普及に大きく寄与したと思います。

ASPの時には、使えるアプリケーションもグループウェアなどでしたが、SaaSになってからは高度なアプリケーションも利用できるようになりました。

例えば外食産業向けのPOSシステムでは、各店舗に設置したブロードバンド回線を利用することで、POSデータをリアルタイムで把握し、自社の基幹システムと連携することができます。これをSaaSとすることでコストを抑え、顧客ニーズの多様化に伴う業態変更にも容易に対応できるトータル・ソリューション・システムとすることが可能になります。

Q他にもSaaSを取り巻く環境で変化したものはありますか?

外部環境だけでなく、SaaSを利用するユーザ企業の側にも意識の変化が見られます。SaaS導入にあたり問題とされるのは、システムの信頼性、ホスティングのセキュリティ、インターネット経由でのアプリケーション利用における安全性などです。重要な企業データをSaaSベンダーに預けるわけですから、信頼できなければ導入には至りません。しかし、自社でシステムを構築する場合、高いセキュリティ環境と高い信頼性を持つシステムを構築するには手間とコストがかかります。その上、運用、管理、メンテナンスコストがかかってくるわけですね。物理的なセキュリティ、運用上のセキュリティ、高可用性のサーバ設備などが充実した信頼できるベンダーであれば任せても大丈夫と認識され始めています。これがSaaS導入の一因となっているように思いますね。

また、インターネットを利用することに不安のある企業や既にネットワークを持っている企業は、セキュアなVPNでアプリケーション・サービスを利用する方法も提供されています。

そして大きな意識変化として、「所有する」から「利用する」へのパラダイムシフトが起きています。これまでは通信回線、ネットワーク、アプリケーションなど、利用用途により別々のコストと考えていたものが、SaaSモデルが登場したことで統合的な「サービス」という観点で捉えられるようになりました。経営者にとってICT導入が「サービス利用に対するコスト」に変わることで、より投資しやすくなり、予算組みしやすいものになりつつあると言ってよいでしょう。

大きな導入コストをかけず、すぐに使い始められるSaaSは、多くの中小規模企業に革新をもたらそうとしていると言えるのではないでしょうか。

Q今後予想されるSaaSのサービスには、どのようなものが予想されますか?

新しい技術の導入やNGNなどにより、SaaSの環境はますます進化していくと考えています。 例えば、ネットワークを共有してより低コスト化を図ることもできます。SaaSモデルの特徴のひとつに、サービスを複数のユーザで共有する「マルチテナント方式」がありますが、インターネットだけではなく、VPN上でも同じことができるんです。通常VPN上でアプリケーション・サービスを利用しようとすると、ネットワークとサービスを1対1で固定せざるをえず、ユーザ企業はひとつのネットワークから他のサービスを利用することはできません。NTTコミュニケーションズの統合VPN「アプリケーション接続サービス」では、共通基盤であるASPゲートウェイを利用することで、1つのVPNでさまざまなサービスにも接続できます。サービスを提供する事業者にとっても、ひとつのサービスを複数のユーザに提供できるため、導入コストやメンテナンスコストを削減できるなど、利用する側にも提供する側にもメリットがあります。

ASP ゲートウェイの特徴

さらに、NGNのセキュアで高品質な通信が、より高度なSaaSサービスを実現するでしょう。ビジュアルコミュニケーションで顧客と打ち合わせを行なうCRMや営業所間を結ぶTV会議など、大きな映像系データを扱うアプリケーションでは優先制御により高精細な映像をストレスなく利用できます。また業務アプリケーションにおいても、通常業務ではブロードバンドのベストエフォート型を利用し、決算など重要なデータの送受信には高品質な通信を行なうなど、用途に応じた通信回線の品質コントロールは大きなメリットがあります。通信品質の変更は、NGNのサービス基盤が適切に行なうため、ユーザはネットワークを気にすることなく、ビジネスに集中することができます。これらNGNの特徴を活かすことで、SaaSのアドヴァンテージをさらに向上させることができると思っています。

ASPがSaaSに進化する過程、そして今後の姿を見る中で、多くの変化が起きていることに気がつきます。ブロードバンドの普及や技術の進歩。「所有する」から「利用する」へのパラダイムシフト。企業のセキュリティ意識の変化。サービスの質が変化しただけではなく、人々の意識も大きな変革を遂げているのです。そしてNGNにより大きく進化することが予想されるSaaS、今後どのような使われ方をしていくか、大いに注目すべき存在であることは間違いないでしょう。

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