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パート2 【インタビュー】IPTVの現状と今後の方向性
IPTVの未来はどうなるのか? 今回はIPTVを担当している経営企画部 担当部長の出口秀一さんと、同じく経営企画部 サービス戦略担当課長 伊藤健さんに話を聞きました。
IPTVで注目すべき点はどこにあると思いますか?

一番にはテレビを見る選択肢が増えたということです。現在ではスカパーなどの衛星放送やCATVなど、有料のテレビ番組を見たいと思ったら、地元のCATVに加入するか、自分で衛星放送用のアンテナを立てるか、どちらかで対応しなくてはなりませんよね。今はサービスが多様化していますから、CATVに入ればスカパーの番組の一部が見られるようになりましたが、全チャンネルが見られるか、といったらそうではありません。全部見るには、やっぱりスカパー専用のアンテナが必要になってきます。でも、アンテナを立てるのは結構大変ですし、分譲マンションなどでは「美観を損ねる」という理由で、アンテナを立てられないところもありますからね。見たいテレビが住んでいる環境のせいで見られない…。現実としてそんな問題も起きているんです。その点、IPTVは光ケーブルで映像配信を行うわけですから、アンテナ工事などが必要ありません。今は多くのご家庭にも、ブロードバンド環境が整備されていますからね。ADSLから光ケーブルへのリプレイスが必要なケースはありますが、それも難しい工事が必要なわけではありません。「ネットワーク経由で見る」という「第3の選択肢」が加わることで、いろんな事情で見られなかった番組も、実に手軽に見られるチャンスが広がるわけです。(出口)

ユーザにとって「選択肢が広がった」というメリットがあると同時に、放送サービスを提供される方々にとってもまた、いろんなメリットがあると思います。IPTVサービスは、技術的にはチャンネル数に制限はありませんから、新しいチャンネルを増やすことも問題なくできるんです。例えば、一企業が番組を作ってIPTVで流す、なんてことも可能性としてあるのではないでしょうか。IPネットワークで配信するわけですから、低コストですむわけですし。コンテンツ管理や課金のしくみは我々から提供できますから、新しい分野での映像配信が出てくるのではないかと思っています。(伊藤)
現在IPTVで行われている実証実験について教えてください。
ひと言でいうと、「NGNを使ったハイビジョン映像配信のテスト」をしている段階です。いよいよ時代はハイビジョンだといわれていますが、あの極めてクリアな映像を、IPネットワークでどこまで再現できるか?ということを、今一生懸命に実験を重ねているところです。従来の「電波」から、伝送方式を「IP」に変えたことで、映像品質が低下したり、データの遅延や停止があってはなりませんからね。電波で飛ばしていた時と全く同じクォリティで配信できないと、関係者のOKはとれません。それだけ日本の放送はレベルが高いのです。その高いレベルをIPネットワークというインフラを使って、どこまでできるかにすべてがかかっているわけですから、映像のコーデック(変換)の方式などを含め、関係者の方々とも意見をすりあわせ、お互いに納得できる運用のルールを今まさに決めようとしているところです。(出口)
今後IPTVは、どういった方向へ向かうと思われますか?
利用者が増えることで、どんどん新しいサービスが生まれてくることを期待しています。私たちは通信という技術を使って、お茶の間に置いてあるテレビをIPネットワークに参加できるようにするところは何とか進めてきました。このあとどう使うかは、いろんな分野で考えていきたいし、コンテンツ配信を志す方々には、さまざまなアイデアを出していって欲しいと思っています。今や一般の方も手軽にネットオークションができる時代になっていますが、まだダイヤルアップ接続の頃は、誰もネットでオークションだなんて、想像すらしていませんでしたよね。これもブロードバンドというインフラが整って、利用者が増えてきたからこそ生まれた新しいサービスの良い例だと思うんです。(出口)
IPTVもそれと同じで、利用者が増えることで、サービスはどんどん多様化していくと思っています。なんといってもパソコン以上に大画面で高画質の映像を楽しめるわけですから、ゲームはもちろん、ロングテールなコンテンツが出てきても面白いですよね。たとえば、個人の留守番電話のメッセージが、声じゃなくて映像に変わったり、面白い画像を投稿して、みんなで見て楽しんだり…。実際にイタリアでは、映像を使ってみんな気楽に楽しんでいますから、日本もそうなっていくのではないでしょうか。映像がより身近になれば、コミュニケーションの方法もどんどん変わっていくと思いますよ。(出口)
あとは、モバイル環境での可能性ですよね。ネットワークにつながるのは、なにも大型テレビだけじゃありませんから、移動できる携帯用のテレビや、携帯電話でのテレビ需要も、ますます増えていくと思っています。好きな時間に、好きな場所で、好きなコンテンツを見る。そんな時代になっていくのではないでしょうか。(伊藤)
ありがとうございました。
きちんと管理され安定したネットワーク環境で、ハイビジョン並の高品質の映像が楽しめる…。IPTVは、現状の映像配信よりもさらに進歩した、まさに「次世代映像配信のかたち」だといえるでしょう。地上波放送がすべてデジタル化される「2011年7月」ももう目の前に来ています。そのタイミングで「IPネットワークでデジタルコンテンツを見ることができる」という新たな選択肢が加わったことは、私たちの暮らしにまたひとつ新しい楽しみ方が増えたことになります。利用者の数が増えれば、生まれるアイデアの数もまた増えていきます。今後どんなサービスが生まれてくるのか、楽しみに見守っていきたいものです。
