法人のお客さま総合 > Business ADVANCE > ICT用語ガイド > GUIDE 014 IPTV(Internet Protocol TeleVision)
パート1 IPTVを理解するための基礎知識
IPTVとはズバリ「Internet Protocol TeleVision」の略。IPネットワークを使って、リアルタイム放送や映画などのコンテンツを配信するサービスのことです。
「ネットで映像を配信?すでに今でもやっているのでは?」と思う方も多いと思いますが、現状の動画配信とIPTVでは、大きな違いが2つあります。ひとつは「閉じたIPネットワークを利用する」ということ。現在行われている動画配信は、インターネット公衆回線を使って、不特定の異なる通信事業者のネットワークを経由して映像を配信しています。誰でも見られる自由な環境である反面、通信の品質が管理されているわけではありません。
これに対してIPTVは、「閉じたIPネットワーク」を使い、特定のユーザ(契約者)のみが利用できる「マルチキャスト※1」での映像配信を行います。従って、インターネットを利用した「GyaO」や「Yahoo!動画」、あるいは、PodTVのようなポッドキャスティングによる動画配信は、IPTVの定義には含まれません。

「閉じたIPネットワーク」を利用する最大のメリットは、通信の品質をきちんと管理できるところです。ベストエフォート型※2接続のインターネットでは、アクセスが集中してしまうと、スピードが低下したり、途中で映像が途切れてしまうこともありますが、ユーザが特定できる閉じたネットワークなら、利用状況を把握することができるので、設備の増強などにより通信の品質を管理し、映像の乱れや停止を避けることができるのです。
もうひとつの違いは、放送を受信するデバイスです。現在の動画配信のほとんどは「パソコンで見る」ことを前提としたサービスですが、IPTVは「一般のテレビ」と専用装置「STB(Set Top Box)」を用いて、大画面で映像を楽しむことを前提としています。現在でもすでに、ネットワーク対応の大型テレビが出ていますが、将来的にはIPTV機能を内蔵したテレビも出てくるでしょう。
IPTVはブロードバンドを利用するので、面倒なアンテナ取り付けなど一切必要ありません。テレビにセットしたSTBをブロードバンドケーブルにつなぐだけで受信準備OK。放送番組はもちろん、映画やスポーツ、アニメなど、視聴可能なデジタルコンテンツの中から、「見たいものを見たい時に」受信できる「VoD(ビデオ・オン・デマンド)」サービスも利用することができます。最近はDVDの発売時期も早くなり、劇場上映が終了してまもなく、レンタルショップにDVDが並ぶようになりました。しかし、新作は人気があるので、タイミングが悪いとずっと貸し出し中…、等ということも珍しくはありません。また現在、インターネットを通じて利用されているVoDサービスは、通信速度や帯域の問題があり映像の質がどうしても制限されてしまいます。その点IPTVなら、見たい時が見られる時。タイミングを逃すことなく、お好みの高画質な映像をリビングでゆっくりと楽しむことができるのです。
現在でもIPTVで見られるVoDコンテンツは5,000作品以上。リアルタイム放送のチャンネル数も、約60チャンネルが視聴可能です。見たいデジタルコンテンツを見たい時に、しかも大型テレビでハイビジョン並のクリアな映像で楽しめるIPTV。通信と映像の融合を目指す“NGNの目玉”として、各方面から注目が集まるのも納得できるのではないでしょうか。
さらに、光ケーブルを利用すれば、映像配信と同じケーブルでインターネット接続も、IP電話も利用可能ということです。1本の光ケーブルで、インターネットも電話も、そしてIPTVによるハイクオリティの映像配信も可能になる。これこそがNGNが目指す「トリプルプレイ」というあり方です。
現在、NTTグループのNGNショールーム「NOTE」では、さまざまなNGNの実験を行っていますが、その中でIPTVを使ったVoDやマルチキャスト配信による高品質なハイビジョン映像を体験できます。場所は東京の大手町と大阪の梅田。期間は2007年の12月までを予定しています。この機会に、IPTVの世界に触れてみてはいかがでしょう。
日本国内のIPTVは、OCNシアター、ぷらら4thMEDIA、オンデマンドTVなど5つのサービスが動き始めたばかりですが、日本に先駆けて海外ではすでにかなりの実用化が進んでいます。ここでちょっと海外のIPTV動向に目を向けてみましょう。
アメリカではCATVのデジタル化が終わり、これから「サービスをどう充実させるか?」という段階に来ています。そんな中、マイクロソフトはIPTV向けのソフトウェア「Microsoft TV IPTV Edition」のサービス展開を開始しました。すでにアメリカ・テキサス州ではAT&Tによって商用提供が始まり、ヨーロッパでもDeutsche Telekom、T-Online France、British Telecommunications、Swisscomなどといった各国の大手通信事業者と組み、ソフトウェアを供給しています。
マイクロソフトが進出する以前からIP技術を用いたトリプルプレイサービス(音声、インターネット、映像)に取り組んでいたイタリアでは、新興通信事業者であるFastWeb(19万人=2005年末の加入者数、以下同じ)が、IPによるテレビ配信サービスを提供しています。サービスの内容は、インターネット接続、IP電話、地上放送8チャネル(無料)と衛星放送のスカイイタリアの無料8チャネル、有料10チャネルの映像配信、VoD、ネットワークサーバへの録画、映像コミュニケーション(TV電話)などです。イタリアは日本などに比べると、CATVの普及率がさほど高くないので、IPネットワークによる映像配信が実用化されたといわれています。
またヨーロッパ最大のIPTV市場と呼ばれるフランスでは、IPTVサービスの契約者数が約47万人。中でも最も多いのが、Free Telecom (13万人)、続いてFrance Telecom(11万6,000人)と、複数の事業者がサービスを提供しています。
その上、2008年の8月8日から始まる北京オリンピックが市場に大きな影響を及ぼし、2010年にはIPTVユーザは2000万人を突破するとアメリカのIDCレポートが報告したように、今後ますますIPTV市場は活発になっていくことでしょう。
市場が活発になり、製品ラインアップも充実してくると、問題になってくるのが「標準化」の問題です。すでに一部で実用化が始まっているため、デファクトスタンダード(市場的な標準)を狙った企業独自の製品や、米ATISといった地域標準化機関による規格が存在するなど、整合性がとれていないのが現状です。今後製品の互換性は、重要な論点になっていくと見られています。
日本国内でも標準化は急ピッチで進められており、2006年10月に「IPTVフォーラム」が発足し、標準化に向けて議論を交わしています。構成メンバーは、シャープ、ソニー、東芝、松下電器産業などメーカー各社、NHK及び民放キー局各社。NTTもKDDIとともに通信事業者という立場から参加しています。目指すのはユーザの立場から見て、便利で楽しい環境を作り出すことです。現在はテレビや音楽に関する独自の規格が複数出ている状況ですが、それを改めて見直し、新しいビジネスをどう考え出せるかが、今後のカギを握るといわれています。
また、地上デジタル放送がIP再送信される場合、地域限定配信について対処が必要になってきます。現在のテレビ放送は放送法に基づき、県毎に放送事業者が放送を行なっています(関東・関西・東海の広域圏等は除く)。NGNでは、現行の放送法に基づき、県毎の地域限定配信を行い他県には出ないように対処しています。
