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ICT用語ガイド
GUIDE 013 PLC(高速電力線通信)
〜新たなネットワークの選択肢、“PLC”の実力とは?〜

パート2 【インタビュー】ニッチな分野から、既存ネットワークとの共存まで

それでは、PLCの現場を知る「生の声」をお届けいたしましょう。今回お話を伺ったのは、PLCを推進する代表的なメーカのひとつである住友電気工業株式会社 情報通信営業本部 営業企画部 新規事業開発室 主査 津上知道氏です。

Q宅内(ホームネットワーク)としてのPLCが注目されていますが、企業ユースの反応はいかがですか?

住友電気工業株式会社 情報通信営業本部 営業企画部 新規事業開発室 主査 津上 知道 氏

はい。おかげさまでとても反応が良く、たくさんのお問い合わせをいただいております。「どういったことができるか?」という基本的な質問が今のところ最も多いのですが、すでに今ある「電力線」というインフラを利用して、新たに通信環境を作る必要がないというところに、大いに興味を持っていただいているようです。

新しくインフラを整えるとなると、やはりコストがかかりますし、事情によって新たな工事ができないという方も、結構いらっしゃいますから。例えば歴史的建造物の場合、通信環境を作りたくても、壁に穴を開けることができないとか、工場や店舗などでも、LAN配線ができないとか…。

そういったお客さまのそれぞれの事情をお伺いして、「PLCではこういうことができますよ」「こういった成功事例がありますよ」といったお話をさせていただいております。

我々は1998年からPLCに着手して、すでに10年の経験がありますし、海外では集合住宅をはじめとする成功事例をたくさん持っています。そのノウハウは、ビジネスシーンでもそのまま活かすことができますので、より具体的なアドバイスができるのでは、と思っています。そして、PLCとはなんぞやといった概要をひと通りご理解いただいたあと、我が社の製品の機能紹介にはいる…といった感じですね」

Q企業におけるPLCの利用用途としては、どういったことが挙げられますか?

そうですね。個人ユーザ向けのPLCを「インホーム系」、法人向け工場、ビル、店舗などの構内LANを「アクセス系」と分けているのですが、我々が想定しているアクセス系用途としては、

  • 1)ビル/工場内の情報系のLANの一部
  • 2)工場内の計測機器、制御機器などのLAN接続
  • 3)ビル/工場/マンションなどの監視カメラのLAN接続
  • 4)店舗内のPOS端末のLAN接続
  • 5)ホテルやマンション、寮などのインターネットサービス用途

などが挙げられます。工場や店舗では、IT化はどんどん進んでいるけれども、LAN環境まで整備されているかというと、現状はまだまだそうではないようなんです。

例えば、POSデータ対応のレジを使っていても、店舗にはLAN環境ができていないとか、建物の入退室管理のための監視カメラは設置していても、ネットワークにはなっていない、といったケースですよね。一般企業でも年々セキュリティ対策には力を入れてきているので、入退室管理をキチンと行いたいというニーズも増えてきているのですが、入退室管理のゲートを設けてもネットワークで一元管理するとなると、また別の問題が発生してきます。
新たにLAN環境を作るためのコストしかり、設置条件しかり…。このようにPLCが有効な市場は、たくさんあるように感じています。

現時点では、「LAN環境ができない場所での活用」という用途がクローズアップされているので、「PLCはニッチ」的な捉え方もされているのですが、それはあくまでもPLCのひとつの側面であり、我々は「PLC=ニッチ」であるとは考えてはおりません。従来のネットワークとの共存も十分に可能だと思います。LANはLANの良さがあるし、PLCはPLCにしかできないこともある。適材適所で別ネットワークとして共存していければと思っています。

Qなるほど。ネットワークとしては後発なだけに、多方面での活用が考えられそうですね。具体的には、将来どんな展望があるとお考えですか?

今まさに新たな利用用途を模索中でもあるのですが、思いがけないところから、PLCに注目が集まっているんです。

「省エネ法」というのがありますよね。ある規模以上の企業には、エネルギー削減の成果を各自治体に報告する義務ができたので、電力の使用状況を調べる必要が出てきたわけです。どのくらいの電力が使われているかを測定する際に、アプリケーションを使って電力量を測定し、数値化して、データをストックしていく。その際、サーバで一元管理できれば、より便利になりますよね。つまり、電力量を測るわけですから、新たにLAN配線を引かず既存の電力線を活用するPLCであれば一石二鳥になるわけです。また、電力以外にも、空調、室内の光調、温度や湿度なども、これからはユビキタス的にどんどんネットワークで管理するようになっていくでしょう。そう考えていくと、場所と環境によってはPLCが望ましいというケースも、今後たくさん出てくるのではないでしょうか。LAN環境はなくても、配線はされているわけですから。

あとは、小・中学校のネットワーク化でも、PLCの検討が始まっています。新たにネットワーク環境を作るために、工事をするとなると、さまざまな許可申請が必要になりますし、文化的に大切な建物なら、新たな工事は難しいでしょう。であれば今ある電力線を使ってはどうか…ということで、検討していただいております。

実は、ドイツではすでに学校での校内ネットワークとしてPLCを採用しているんです。ドイツ西部のルール工業地帯にあるヘルテン市のウィリー・ブラント中学校というところなんですが、低価格で高性能と評判で、周辺の学校も大いに関心を示しています。また弊社がモデムを納入したスペインのサラゴサ市の職業訓練学校でも好評であったと聞いています。そういった成功事例があるからこそ、日本での展開も期待できると思っています。実際、教育関係に関しては多方面から話が来ているので、来年度あたりから、具体的に動き出すのではないでしょうか。

ありがとうございました。

PLCが日本国内で解禁されたことで、ネットワークの「つなぎ方」の選択肢がまたひとつ増えました。選択肢が増えるということは、それだけ適材適所のつなぎ方ができるということです。どういった場面で、どんなスタイルでつなぐかは、まさにユーザの使用目的や環境、そしてアイデア次第。
PLCという新たな仲間が加わったことで、より面白い動きが出てきそうです。まだまだ歩き始めたばかりなのですが、今後どのような使われ方をしていくか、その利用動向から目が離せません。

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