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ICT用語ガイド
GUIDE 012 RFID(無線ICタグ)
〜実用段階に入ったRFIDの最新動向と将来の展望〜

パート2 【インタビュー】日本での普及のカギはニッチ?

さまざまな問題がクリアされて、今後の展開がますます楽しみになってきているRFIDですが、今回はそんなRFID事情に詳しい第一法人営業本部 セールスコンサルティング部 セールスコンサルティング部門の井上 晃さんに話を伺いました。今、日本ではどのようなかたちでRFIDが展開されているのか、具体的な話を聞くことができました。

Q色々な可能性を秘めたRFIDですが、もっと普及するための「最大のカギ」はどこにあるとお考えですか?

第一法人営業本部 セールスコンサルティング部 セールスコンサルティング部門 担当課長 井上 晃

いきなり核心に触れる質問ですね(笑)。まずはRFタグのコスト低減ですよね。響プロジェクトによって「5円タグの可能性」が出てきましたが、まさにここがトリガーになると思っています。2007年はいよいよ本格的に動き出すのではないでしょうか。

2つめのカギは「標準化」です。日本では「ucode」と「EPC」の2つのコード体系がありますが、そもそもアプローチが違うものなので、今後2つのコードは棲み分けされるのではないかと思っています。Ucodeというコード体系は愛知万博で公開されましたが、点字を杖のセンサーで読むといった目の見えない方のためのRFID利用など活発な研究が行われています。当面、個人向けのサービスや、福祉方面に普及していくのではないでしょうか。一方、「Gen2タグ」の登場などを見ると、EPCは企業向けの用途に拡がっていくのではと考えております。

それから、「プライバシー問題」も重要なポイントですね。アメリカでは一部の消費者が、「RFタグが付いているものは買わない」といった不買運動を行い、某アパレルメーカがタグの導入を断念した事件もありました。日本ではそこまで激しくはならないでしょうが、企業の情報管理体制、はずしたタグをどうするかといった問題も、キチンと対処していく必要があると思います。この件に関しては、今後どんどん議論を交わしていく必要がありますが、一番大切なことは、「日本ならでは」のビジネスモデルを考えていくことではないでしょうか。日本はアメリカのように広くもないし、多民族多文化国家でもありません。本来キッチリした性格なのか、これまでも流通や生産管理がうまく機能してきました。そういった「キチンとした土台」に、RFIDをどう導入していくかは、ベンダと企業が一体となって、いろんな可能性を示唆していくことが大切だと思います。

Qもう少し詳しくお話いただけますか?

要するに単にコスト削減・業務効率化という視点だけでは、RFIDを導入するメリットが日本では出にくいということです。聞いた話ですが、アメリカでは、在庫商品の数が合わないことが珍しくないそうです。それもダンボール何箱という単位で(笑)。でも、日本ではそんなこと、考えられませんよね。RFIDを導入する以前から、キチンとした流通や在庫管理ができているので、更なるコストをかけて、新しいシステムや環境を構築するメリットがあるか?という点では、アメリカに比べて導入への敷居はかなり高いと思います。

効率化ということだけではなく、日本人ならではの細やかなサービスの向上にRFIDを活かせないか、またそこから新規のお客さま獲得や新しいサービスの提供ができないかを考えていくことが大切だと思うんです。

わかりやすい例をあげると、「Suica」のケースがあります。あれは成功したビジネスモデルのよい例だと思っているのですが、あそこまで普及したのは、B to B to Cの「C」までを含めたビジネスモデルが描けていたため、企業ユーザ、エンドユーザそれぞれがメリットをイメージしやすかったからではないでしょうか。

また、平成16年のことなんですが、ある大手デパートの婦人靴売り場でRFIDの実証実験を行い、その後実際に導入されたケースがあります。もともとは在庫管理の効率化を狙っての導入だったのですが、手元で在庫が確認できるようになったことで、接客時間が増え、結果として売上げがアップしたという事例が報告されています。靴を買う場合、サイズを告げてから商品を持ってきてもらうまで、売り場にひとり残されますが、結構手持ちぶさたなものです。それが解消されることで、顧客満足度が上がり、売上げアップにつながった。これは予想外の効果だったと思います。

このように、ちょっとしたサービス、いわゆる「ニッチ」ですが、これまであまり注目されてこなかったスキマサービスにこそ、日本のRFID普及の可能性があるのかもしれません。よいアイデアがあったらいつでも大歓迎ですし、ぜひ一緒に考えていきたいですね。

Qそれでは最後に伺います。今後、RFIDの普及・活躍が進みそうな業界は?

物流はもちろんですが、国が中心となり実施されているRFIDの実証実験に参画されている出版、家電やファッション業界などは、特に可能性が高いように思います。これまでの在庫管理などとはちょっと違ったRFタグの利用シーンですが、昨年、弊社でRFタグを用いた「メイクアップシミュレーション」という実験を行いました。好きな色の口紅やアイシャドウを選んでトレイの上に乗せると、その色を付けた自分の顔が、モニタに映し出されるというシステムです。動画での化粧シュミレーションで、左右上下、斜めにも動き、「どんな自分になるのか」がすごくよくわかるんですね。RFIDの展示会でデモをしたら、ずいぶん人気が集まりました。物珍しさもあったでしょうが、いずれにしても全ての業界の皆さんが、興味をお持ちなんだと実感しました。
同様にメガネのフレームや洋服、靴選びにも応用できそうですよね。また、車の色を選ぶときや、お部屋のインテリア、壁の色やカーテンの色など、内装関連にも威力を発揮しそうです。

まだかたちができあがってない市場だからこそ、いろんな用途が考えられますし、私たちも日々勉強させていただいています。さまざまな業種のお客さまとふれあうことで、「こういう使いかたには、このシステムを」というノウハウのストックがどんどん積み上がってきています。お客さまにとって最適な環境を、一緒に創り上げていきたいと思っています。

ありがとうございました。

さまざまな可能性が期待されるRFID。日本では「コスト削減・業務効率化」は言うまでもなく、「顧客満足度を引き上げる新しいビジネスモデル」としてのRFIDの活用にこそ、大きなビジネスチャンスが眠っているように思われます。そのためには、企業とベンダが知恵を出し合って、一緒に新しいサービスを考えていくことが大切です。既存のビジネスモデルとはひと味もふた味も違うかゆいところに手が届くきめ細やかなサービスを生み出すためには、さらなる柔軟な発想や、ユニークな視点が求められていると考えてまちがいないでしょう。

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