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パート2 【インタビュー】「ITIL®」を知るためにはまず相談から
実際にITIL®はどのように活用されているのか、第一線で活躍するお二人にお話を聞いてきました。今回インタビューを行ったのは、ITマネジメントサービス事業部ビジネス推進部の安岡恵一さんと、同じくITマネジメントサービス事業部カスタマサービスセンタの平山力さんです。現在、NTTコミュニケーションズがメンバーを務める「itSMFJapan」の広報担当でもある安岡さんにはitSMFJapanの立場からITIL®に関する全体的なお話を、平山さんには現場で実際に起きているさまざまな事例についてお話いただきました。
日本版SOX法への対応など、企業コンプライアンス、企業ガバナンスの面からITIL®への注目が再度集まってきていますが、最近の国内の動きはいかがでしょうか?

そうですね、かなり注目度は高くなってきていると思います。先日ITIL®のセミナーを開催したのですが、募集開始から半日で定員の100席が一杯になってしまいました。あまりの早さに驚きました。皆さん、勉強熱心ですよね。
そのせいかお客さまの反応も、『システム運用管理をITIL®対応でお願いしたい』というアプローチが増えてきているのも事実です。ITIL®を自分から進んで勉強している人は、他の会社がどんな成果を出しているかなどわかっているわけですから、うちもそれを取り入れたいと、積極的に考えているようです。
でも、逆に「このツールを入れれば、ITIL®対応になるんですね?」というお客さまもいらっしゃいます。そういうお客さまには、時間をかけて説明するのですが、今はまだ、ITIL®の認識度や理解度に、ずいぶんと差があるのが現状ですね。私どもitSMFJapanも、もっとPR活動に力を入れていかなければ…と思っています。(安岡)
企業の担当者さんがITIL®導入を進める上で、最低限踏まえておくべきことは、なんでしょうか?
実は、意外とITIL®と「ISO20000( ※1)」を混同して考えている方も多いんですね。ITIL®は成功事例をもとにしたマネジメントサービスの「ノウハウ集」で、「規格」ではありません。ITIL®の通りに「やらなければならない」という性格のものではないのです。 一方ISO20000は、ITIL®をベースにして生まれた国際標準規格です。「ITIL®導入=ISO20000取得」と思っている方も少なくはないのですが、ITIL®に関しては、もっとフランクに考えてもらっていいと思っています。ISO20000を取得することを目指すならば、そこに定められているプロセスやノウハウをすべてクリアしていかなければなりませんが、ただ単に「ITIL®のノウハウにのっとって」改善を図っていきたいというならば、全部に手を入れる必要はありません。改革が必要な所にだけ、ピンポイントでITIL®のノウハウを取り入れていけばいいんです。ITIL®にはそういった柔軟性もあるということを、ぜひ皆さまにもっと知っていただきたいですね。(安岡)
「itSMF Japan」の今後の活動について教えてください。
メインの業務としては、書籍の販売です。ITIL®の各書籍は、1冊15,000円しますがITIL®におけるバイブルとなっていまして人気があります。itSMFJapanの収益の半分が書籍の売り上げとなっていることからNPOとしては、かなり大きな収益を上げていると思います。もちろん我々は非営利団体ですから、皆さまからいただいたものを、最大限のかたちで還元していかなくてはなりません。そこで、コンファレンス会場を使った大規模なカンファレンスや、受講者のレベルに合わせたセミナーを活発に開いていこうと考えています。
また、今、人気があるのが、ITIL®関連の資格取得業務ですね。「ITIL® Foundation」という資格があるのですが、今年その取得者が1万5千人を超えました。ここにきて、ぐっと受験者が増えているので、私たちもうれしく思っています。資格取得者が増えれば、ITIL®も活性化すると思いますので、これからはもっと資格取得者が増加すればと思っています。(安岡)
それでは続いて、平山さんにお話を伺います。
今まで様々な企業さまに、ITIL®についての対応をされてきたと思いますが、具体的にはどういうステップで取り組んでいくのでしょうか?

どういうかたちでご相談されるかにもよるのですが、基本的に最初は「現状把握」していただくところからはじめます。これはITIL®を扱うもっと以前から、弊社でずっと行ってきたことなのですが、まずはチェックシートを使って、どんなメンバーで、どんな業務をやっていて、何が問題で、どこが不満でなどということを、細かくヒアリングしていきます。
そして、そのチェックシートをもとに、問題点を明らかにしていきます。一番の問題は、何が問題かが見えてないことですから、まずはそこからですね。(平山)
今までのご経験の中で、一番苦労されたことは何でしょう?
システムが止まってしまったときの対応ですね。今から4年前に起こった出来事(※2)なのですが、まさに私はその担当だったんです。そのときは、しばらくの間、それこそ毎日寝る間を惜しんで仕事をしていたような記憶があります(笑)。
結局ネットワーク機器の負荷分散やソフトウェアをバージョンアップすることで解決したのですが、あのときのトラブルは、ものすごくいい経験になりました。お客さまの経営を支える業務のIT基盤としてのシステムやネットワークというものは、ちゃんと動いて当たり前ですから、問題は解決しなければならない。でも、「どこまでサポートするか」「どういう手法でサポートするか」などがちゃんと決まっていませんでした。だから余計に混乱したんだと思います。今はその経験を糧に、まずはお客さまととことんまで話し合い、そして私どもも運用の指標となるものをキチンと持つ。そのためにITIL®を活用させてもらっています。
でも、実際に現場に入ると、ITIL®に書いてあることだけでは、動かないことがたくさんあります。ITIL®はあくまでもガイドラインですから、細かい運用方法までは書いていません。マネジメントする側はとにかくキッチリ管理して欲しいと言うし、逆に現場は「そこまで管理されたら身動きが取れない」と思うことがあるわけです。そこをどう折り合いを付けていくかということも、私どもの役割だと思っています。(平山)
ITIL®の導入メリットはどこにあるとお考えですか?
SOX法のからみで、大企業は積極的に動いていますが、私個人の意見としては、中小企業にこそ、ITIL®を導入して欲しいと思っています。中小規模の場合、どうしても管理者の人数も限られてしまい、システマチックに動いていないところが多いんですね。『属人化』と言って、その人がいなければ機能しなくなるようなことがありますが、企業も個人の知識や経験、勘などに頼ってしまいがちです。だからこそITIL®を導入することで、ちゃんとプロセスを管理して、情報を共有化していけば、何かあったときに迅速な対応が取れます。中小企業のトップの方には、特にそのメリットをわかっていただきたいですね。
それから経営者の方は、やはりコストが気になると思いますが、安岡からも話があったように、ITIL®は「できるところから」「必要なところから」の導入が可能なため、一気に大きな投資をする必要がありません。トライアルとして短期間でやってみて、成果が出たら成功だし、目のつけどころがあっていたということです。逆に成果が出てこなかった場合は、見当はずれのところに注力していたのかもしれないし、やりすぎだったのかもしれない。そういうことをチェックしながら、改良を重ねていけばいい。このように低コストで効果を見ながら進めて行けるのも、ITIL®」が持つ柔軟性ならではだと思います。
反対にITIL®の課題としては、人的リソースをどう活用していくかということが挙げられるでしょう。プロセスやツールは目的がはっきりしていれば、取り決めや導入はスムーズに運びます。ただ、それを運用するのは人ですから、マネジメントする側が管理者とのコミュニケーションをどう確立するか、モチベーションをどう向上していくかが、課題です。日頃からコミュニケーションを図ることで、問題意識を汲み上げ、改善につなげていくという流れを作るのが重要になります。
人は財産であるという意味の『人財』という言葉がありますが、ITIL®においても、そこがもっとも肝要だと思います。(平山)
NTTコミュニケーションズはお客さまの視点で、お客さまが望むかたちにあわせ提案活動、改善活動を行っています。お客さまの費用対効果が一番いいこと。それは組織を入れ替えることかもしれませんし、教育かもしれません。またある特定プロセスの取り決めや、メーカーに依存しないツールを選択し横断的に自動化・効率化することかもしれません。さまざまなことを組み合わせて、お客さまにとって、何が必要で、どういうアプローチがベストなのかを、ひとつひとつ相談しながら創り上げていく。
「まずはご相談ください」というのが、安岡、平山両氏に共通するメッセージでしたが、それがNTTコミュニケーションズのスタイルを体現していると言えるでしょう。
冒頭でも説明したように、ITIL®は、適切に、そして効率よくシステムを運用していくためのノウハウが満載された「ガイドブック」です。つまり必要に応じて、このノウハウ集のどの部分を導入し、それをどう活用するかは、改善に取り組む企業次第。また短期間でいくらでも見直しが利くところもITIL®の大きな特長ですから、まずは気軽に相談するところからはじめてみるのがいいのかもしれません。
