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パート1 「ITIL®」の概要 〜その中身とは〜
日本版SOX法の実施基準が間もなく公開されようとしていますが、この時期に来て「ITIL®(アイティル)」というキーワードが注目を集めています。2年ほど前には数千件程度だったGoogleの検索結果も、今では1千万以上もの件数が表示されます(2006年12月現在)。それだけ世間の関心度が高くなり、ITIL®関連市場が動き出していると言えるでしょう。
しかし、急激に注目を浴びただけに、人々の説明も理解の仕方もまちまち。結局説明を聞いたり読んだりしても、「なんだかよくわからない…」という人も少なくないのではないでしょうか。まずは「ITIL®とは何か」から、正しくつかんでいきましょう。

ITIL®とは「Information Technology Infrastructure Library」の略。その名前が示すとおり、「ライブラリ」、つまり「ガイドブック」です。
日本では「ITIL®」という言葉だけが一人歩きしてしまい、ITIL®を導入しさえすれば、今抱えているシステムの運用管理の問題が、一気に解決!とすら思っている人もいるようですが、ITIL®はシステムそのものでもなければ、構築方法でも、問題解決の魔法のツールでもありません。適切に、そして効率よくシステムを運用していくためのヒントやトピックがギッシリ詰まった「ノウハウ集」なのです。
ITIL®は1989年、Central Computer and Telecommunication Agency(現英国商務局)によって作られました。ITサービスマネジメントに関する様々なプロセスや機能についてとりまとめたものなのですが、もともとは英国政府官公庁の情報システム管理基準として、つまり自分のところで使うためのガイドブックとして作られたのです。しかし、初版が発表されてから、民間企業にも高い評価を受け、次第にヨーロッパ全体、さらにアメリカ、アジアへと、世界各国に広がって行きました。今では、英語版だけでなく、日本語、中国語など5カ国語に翻訳され、ITに関する社内規定やプロセス管理を見直す際の世界標準の「バイブル」として、広く活用されるようになっています。 ITIL®が世界的に広がりを見せ始めた1991年、特定企業の製品に依存せずにITIL®の普及を目指す非営利団体「itSMF」が設立されました。2005年には日本、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、フランスなど40の国と地域で運営されています。
日本では2003年9月に、特別非営利活動法人(NPO)「itSMF Japan」が設立されました。現在の会員数は約2,000名。ITIL®普及を目指し、様々な勉強会やセミナー、コンファレンスを開催運営しています。専門用語の多いITIL®を、正しくわかりやすい日本語訳にまとめたのもitSMF Japanの活動の一環です。itSMFには、日本を代表するIT関連企業が多数参加しているのですが、そのメンバー企業が協力し合って、日本語版のITIL®は完成しました。
もともとITIL®は40数冊の書籍として書かれていましたが、現在は以下の8冊が書籍としてまとめられています。
中でもコアとなるのが「サービスサポート」と「サービスデリバリ」の2冊。通称「青本」、「赤本」と呼ばれているものです。 サービスサポート」には、「サービスデスク」「インシデント管理」「問題管理」「変更管理」「リリース管理」「構成管理」といった日常の運用とサポートに関する6分野が、「サービスデリバリ」には、中期・長期のシステム運用管理に関する計画と改善について、がまとめてあり、コアとなる「サービスレベル管理(SLM)」「可用性管理」「キャパシティ管理」「ITサービス財務管理」「ITサービス継続性管理」の5分野が収録されています。

システム業務の難しいところは、システムを構築さえすれば「はい、一気に改善しました!」というものではないところです。「構築(導入)=完了」ではなく、むしろそこからがスタート。「いかに運用していくか」が大きな課題となっています。
しかし、今まではその指針となるものがなかったので、すべてが企業まかせ。そのため「なんとなく…」とか「一応メーカーからもらったマニュアル通りに…」という曖昧な対応をしている(せざるを得なかった)企業も少なくはありませんでした。
ところが、「なんとなく」の対応では、ひとたび問題が起こったときが大変です。原因の追求、切り分け、再発防止策なども万全ではないために、問題が解決するまでに、かなりの時間を要します。業務に支障を来すだけでなく、対外的な信用も落とすなど、企業が被る損失ははかりしれません。
このままではまずい…と、誰もが危機感を持つようになったところに、日本版SOX法が可決され、手を打たざるを得ない状況になってきました。そこで「何かお手本になるものはないか…」ということで、ITIL®に注目が集まったのです。
ITIL®は、さまざまなIT活用の模範的な事例(ベストプラクティス)をまとめ、「IT活用を支援する方法論」として体系化したものです。今までも、個々のシステムに関するマニュアルや運用ノウハウはありましたが、システムの種類や業種などを超えて理論を体系化したところが、ITIL®がこれほど注目される理由でもあります。
たとえば、ITIL®の肝だと言われている「サービスサポート(青本)」には、[構成管理]を中心にして、[インシデント管理]→[問題管理]→[変更管理]→[リリース管理]といった4つの管理プロセスで、業務を運用していこうという、その手法と考え方がまとめてあります。
このプロセスを取り入れることで、今まで部署によってまちまちだった運用方法を統一化することができるため、多くの無駄を省き、結果として運用のシンプル化、コストの削減、そして業務の効率化が期待できると見られています。
また、ノウハウを体系化することで、言葉の統一も生まれ、理解がスムーズになるというメリットもあります。たとえば、「ヘルプデスク」「ヘルプ」「サポート」「サポートセンター」と、企業や部署によって呼び方もまちまちだったものが、ITIL®を使うことによって、みんな「サービスデスク」と呼ぶようになります。同じ言葉を使えば、意思の疎通も図りやすいし、お互いにまったく違う物を想定しながら話すというようなギャップもなくなります。正しい理解と知識の共有化。このように基礎作りがしっかりできるので、たとえ問題が発生しても、短時間で解決できるようになるのです。
では、ここで少し成功事例をご紹介しましょう。
建築、採鉱設備、ディーゼルなどのリーディングカンパニーであるアメリカのCaterpillar社では、ITIL®のアプローチを取り入れた結果、ITインフラのコストを10%カット(2003年末までに3000万ドルの削減)、サービス中断の解消、CSの向上など、大きな成果を上げています。
また、P&G社の日本拠点(P&Gアジア・ピー・ティー・イー・リミテッド社)では、2001年からITIL®の導入を進め、システムサポートのプロセスを最適化するだけでなく、システムサポート、運用、サービスデスクといったコストの削減などにも成功しています。
その他、国内外でも、多くの成果を出している企業はたくさんあります。ここに挙げたのはほんの一例ですが、参考にしていただければと思います。
Title : ユーザ事例
| No. | 企業名 | 業界 | 実施内容 | 効果 |
|---|---|---|---|---|
| 1. | State Farm (米) | 金融 |
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| 2. | Caterpillar (米) | 機械 |
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以下の改善を見込む
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| 3. | Intel (米) | 電機 |
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以下の改善を見込む
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| 4. | General Mills (米) | 食品 |
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| 5. | P&G (日) | 化学 |
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