法人のお客さま総合 > Business ADVANCE > ICT用語ガイド > GUIDE 010 動画共有サービス
パート1 「動画共有サービス」が注目を集めるワケ
「ここに行けば面白い動画が見られる」ということで、いつの間にか日本でも市民権を得た動画共有サイト「YouTube」。読者の皆さんの中にも、ついつい時間を忘れていっぱい見てしまったという経験を持つ方も多いのではないでしょうか? 先月Googleが16億5,000万ドルで買収したというニュースも記憶に新しいですね。
YouTubeが設立されたのは2005年2月14日のバレンタインデー。同年の12月頃から次第に関心を集め始め、2006年6月末に発表されたプレスリリースによると、すでに4,000万の動画がアップされ、さらに毎日3万5千もの動画が新たに追加されているそうです。
興味深いのが、日本からのアクセス数。ネットレイティングス社が今年の4月に発表した記事によると、なんと利用者は月間200万人! しかも日本からの利用時間の方が、アメリカよりも長いというデータまで出ています。
※http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0604/27/news048.html(参考記事)
ネットレイティングス社に「全内容が英語で提供されているWebサイトとしては異例な利用率」とまで言わせた日本人のYouTube熱。利用者数は今も増え続けています。
なぜここまでヒートアップしたのでしょうか? いろんな意見がありますが、整理してみると、動画へのリンクを、自分のブログやSNSの日記などに直接貼り付けることができるので、英語がわからなくても使えるという点、動画の評価が★で表示されているので、面白い映像が探しやすいという点。さらに画像をクリックすれば自動で再生され、見たい映像もキーワードを入れればすぐに見つかるといった簡単操作も、高い人気を支えているのでしょう。
その一方で、最も大きな問題になっているのが「著作権」について。オリジナルビデオの他に、アニメ、音楽、お芝居、ダンス、テレビ番組やテレビCMなど、YouTubeには興味深い動画が山のように公開されていますが、その中には著作者の許可無く、無断でアップロードしているものも少なくはありません。利用者にとって、いくら興味深く、貴重な映像であっても、それらは著作権を侵害している「違法動画」なのです。しかし、違法とわかっていながらも、めったにみられない映像ということで、興味本位でアクセスが集中してしまう…。動画管理の問題とともに、利用者のモラルの問題も大きく取り沙汰されています。
しかし、YouTube側もそんな状況を黙って放置しているわけではありません。違法動画が公開されているという通知を受けると、速やかに削除を行っています。でも、削除後すぐにアップロードされるというように、いたちごっこ的な様相を呈しているのも事実。すべての違法動画を、根こそぎなくすのは極めて困難な状況です。
そんな状況だからこそ、大切なのは私たち利用者の「モラル」です。誰もが自由に情報を発信し、自由にそれを享受できる…。私たちが手に入れた「自由」を守るのは、法律ではなく、利用者一人ひとりのモラルにかかっているのです。
さまざまな問題を含んではいますが、YouTubeは私たちに新しいかたちの「ネットの楽しみ方」を提示してくれました。一部の違法動画の存在のために、あらたな可能性を摘んでしまうのも、実にもったない話です。正しいモラルでキチンと使えば、動画共有サービスは、第3、第4のメディアとして新たな市場となる可能性を秘めています。それを大きなビジネスチャンスと捉え、米DivX社は、YouTubeよりも高画質で、販売も可能な動画サービス「Stage6(TM)」を、今年の8月にスタートしました。
日本でも独自の動画共有サイトが次々と登場しています。フジテレビが7月にオープンした動画ポータルサイト「ワッチミー!TV」、Web 検索サイトの「Ask.jp」 が新サービスとしてβ版を開始した動画共有サービス「Ask ビデオ」、また、動画共有サービスが利用できるSNS「ティラ」や、ブログでの利用に特化した「FlipClip<フリップ・クリップ>」などといった多様なサービスも登場しています。SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)大手GREEの「GREEフォト」にも今年の9月から、動画投稿・再生機能が追加されました。
また、動画共有とはちょっと違いますが、無料で動画が見られるという点では画期的なパソコンテレビ「Gyao(ギャオ)」も、人気の高いサービスです。高速ブロードバンド化が進みインフラが整ってきた今、動画というリッチコンテンツは、ますます身近になってくるのでしょう。
「YouTube」や「ワッチミー!TV」をはじめとする動画共有サイトは、視聴も投稿も無料です。どういうビジネスモデルが成立しているのかというと、そのほとんどが広告収入です。面白い動画がたくさんあれば、人が集まる。人が集まるところに広告を出せば、高い効果が期待できる…という図式です。
しかし、動画共有サイト上での広告収入のビジネスモデルに限定しない、独自の視点を持った新しい動画共有サイトが登場しました。それがNTTの「ClipLife」です。今年の8月から2007年2月まで、半年間トライアルを実施しています。
ClipLifeは他の動画共有サイトとどこが違うのでしょうか? 動画の共有が無料でできるという点では、他の動画共有サイトとなんら変わりありませんが、ClipLifeが目指すのは「投稿」「視聴」「コミュニケーション」の3本柱。動画を見に来て、「あー、楽しかった、おしまい」というのではなく、ブログや企業サイトなどの「情報発信支援ツール」としての動画共有サービスを提供し、視聴から始まるコミュニケーションを目指しているのです。
多くの動画共有サイトは、「動画サイトに来て、見て」というスタイルをとっていますが、たくさんの人に見られる人気の動画がある一方で、投稿したもののほとんど日の目を見ない作品というのもあるものです。Web2.0の特徴であるはずの「ロングテール」が、アタマの部分だけしか利用されてないわけです。
そこで、ClipLifeでは、独自の技術で、ロングテールのしっぽの先の方にある動画も見やすく、探しやすくするために、「チョコパラTVブラウザ」という機能を搭載しています。「チョコパラTVブラウザ」を開くと、音声の大きさや高さ、速さなどから自動抽出された15秒程度の「ハイライトシーン」が再生されます。さらに、キーワードを使って映像を探し出すこともできるので、「見たいものを」「簡単に」「自分のちから」で見つけ出せるのです。
このほか、映像全体ではなく、映像の中のシーンについてコメントやトラックバックが可能になる「チョコパラSSS」機能も、投入を予定しています。この機能が使えるようになると、クリエイティブな動画について「このシーンが泣ける!」とか、体験動画について「こういう時は…すればうまくいきますよ」というように、ピンポイントでのコメントが付けられるようになります。映像全体についてのコメントよりも、よりコアに語ることができるので、投稿者や他の視聴者により有益なコミュニケーションも期待できるでしょう。
さらに、ClipLifeは「来て、見て」というスタイル以外に、ClipLifeのサービスを「自分のサイトで使う」ことができます。JavaScriptが使える環境なら「引用タグ」を、使えない環境なら「リンクタグ」を使って、自分のブログやホームページに、動画コンテンツを埋め込むのです。もちろん再生もスムーズ。サーバを用意したり、サーバに特段のプログラムを組み込んだりする手間も一切かからず、何のストレスもなく、自分のサイトで動画が動き出すのです。
現在はトライアル中のため、オープンな環境での動画共有しかできませんが、順次グループメンバ内での動画共有も進めていく予定です。ある程度利用者を特定できれば、企業がサンプルモニタを募集して、その使用状況を具体的に動画で報告してもらったり、「ここが使いやすい」「ここがわかりづらい」といった使用感などもリアルに伝えて貰うこともできますね。
他にもいろいろと使い道はあると思いますが、なにぶんまだ始まったばかりのサービスです。企業にとって動画共有はどんなメリットがあるのか、どう使っていけばいいのか、興味は大いにあるものの、今ひとつ明確にイメージできない…と思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、パート2では、ClipLifeトライアル実施担当者に、直接話を聞いてきました。
具体的な話を交えての説明に、「なるほど!」と合点がいくことも多いでしょう。
