法人のお客さま総合 > Business ADVANCE > ICT用語ガイド > GUIDE 006 FMC(Fixed-Mobile Convergence)
パート2 FMCの方向性は?
FMCの代表的なサービスのひとつである「ワンフォン」。FMC=ワンフォンではありませんが、中核となるサービスであることは間違いないので、もう少し掘り下げてみたいと思います。
屋外では携帯電話。屋内では固定電話。それがFMCによって、1台の携帯端末を使って、携帯網と固定網を自動的に使い分ける。1-1「FMCって何?」でも少し触れましたが、これがワンフォンサービスの概要です。
しかし、ご存じの通り今の日本では、電話によって様々な電話番号が混在しています。携帯電話は「090」か「080」、PHSは「070」、IP電話は「050」、そして東京23区なら「03」から始まる「0AB〜J」の固定電話番号。これだけ様々な電話番号が存在したまま、FMCを導入した際にいくつかの不都合や矛盾点が生じることが懸念されます。早い話が、どこからどこまでが090または080で、どこからが050(または03)になるのか? 通信料を「誰が」「どこまで」請求すれば良いのか?ということです。また、携帯網と固定網、IP網といった異種ネットワークを乗り入れ可能にした場合も、どこからどこまでどこの通信網を使うのか?といった課題も出てきます。
こうした状況をふまえて、総務省は「FMC電話番号として、あらたに『060』を割り当てる」という方針を打ち出しました。2006年2月6日、第6回「IP時代における電気通信番号のあり方に関する研究会(通称、番号研究会)」において課題が提示され、今なお議論が重ねられていますが、この調子でいけば、早ければ今年中には、060番号が体系化されると言われています。
060構想のコアとなっているのは、英BTと同様、「ワンナンバー」という至ってシンプルなもの。電話番号はひとつにした方が便利に使えるに違いない。「03」や「090」など、複数の電話番号を与えられ、家の中では03、外出先では090、IP網圏内なら050というように、どこにいるかによって番号が変わるのでは、混乱が起きる恐れがある上に、ユーザビリティとしても決して優れているとは言えません。こうした考えのもとで「060」構想は生まれたのです。
しかしながら、電話番号が一本化されたとしても、通話料の問題は残ります。現在の日本では「電話はかけてきた方に請求が行く」というスタイルです。家の中では固定電話、移動中であれば携帯電話で受けることになるため、電話をかけたとき「相手がどこにいるか」によって、通話料がぐんと変わってしまう。そんなケースもでてくるでしょう。
「060」というFMC専用の電話番号を新たに設けることは、他のサービスとの識別性からもいいことかもしれません。従来とは違った新たな料金体系、新しい使い方。それらを一気に浸透させることができるかもしれません。
とはいえ、まだ本決まりということではなく、議論は今も続けられています。政府はどういう方針を打ち出すのか。その展開を注意深く見つめていきたいものです。
まだまだ未確定要素が多く、その全貌が明らかにはなっていないFMCではありますが、皆さんの一番の関心は、「FMCによって何がどう変わるのか?」「何が便利になるのか?」だと思います。そこで、FMCの国内外の動向に詳しい、当社のユビキタスサービス部の馬場覚志さんに、話を聞きました。
FMCサービスが開始されることで、ユーザの通信スタイルはどう変わるとお思いですか?

「FMC=ワンフォンサービス」だと解釈する傾向が、だんだんと大きくなってきているように思えて、それがちょっと心配です。確かにワンフォンサービスはわかりやすいし、FMCの代表的なサービスのひとつではありますが、それだけではないんですよね。FMCというのはもっと大きくて、包括的な意味合いがある言葉だと、私は解釈しています。
たとえば、OCNが提供している「ドットフォンオフィス」は、外では携帯電話、社内ではIP電話として使うことができるサービスです。狭義のFMCサービスというか、わかりやすいかたちでのFMCだと考えてます。でも、それだけで満足してはもったいないと思うんですね。もっとその先の使い方を見据えていくことが大切だと思うんです。
FMCは単なる音声サービスではありません。固定通信と移動通信が融合したときに「どういう世界ができるんだ?」と考えていくことが、FMCを大きく捉える第一歩だと思います。
FMCでは携帯電話がIP網の端末として使えるわけですから、文字や画像データが扱える。当然、Eメールの送受信ができるようになる、と想像できますよね。でも、それだけじゃなくて、アドレス帳も固定と携帯との間で共有できたら、もっと便利になるでしょう。今までは「このパソコン」じゃなければアドレスがわからないのでメールが送れない、「この携帯」じゃないと電話番号がメモリされてないので、電話がかけられない、といったことがよくありましたが、FMCによって通信ができるようになる。これもFMCが実現するひとつの「かたち」ですよね。
さらに、FMCを営業支援ツールとして考えた場合、単に「どこにいても電話が受けられる」というだけでなく、今自分はどんな状況にいるのか、外出しているのか、会議中なのかといった「プレゼンス設定」ができれば便利ですよね。そしてその状況に合わせて転送先も柔軟に設定できればなおいいでしょう。代表電話につなぐのか、アシスタントの携帯に転送するのか、それとも営業部の固定電話に転送するのかによって、ビジネスチャンスも大きく違ってくるんだと思います。
「電話」を超えたサービスを提供するとなると、ますます携帯と固定のシームレスな融合がポイントになると思われますが、移動体も含めた通信事業者は、今後どのように連携していくべきだとお考えですか?
我々は「ビジネスシーンにおいて、FMCはどう使われるべきか?」ということを、常に考えています。平たく言ってしまうと、ドコモの携帯電話を活用したビジネスソリューションを提供することが、私たちの役割のひとつなのではないかということです。
ご存じの通り、ドコモさんはコンシューマ向けサービスが強い。そして、当社は法人ビジネスが得意です。NTTグループ内で、それぞれの特性や得意分野を活かして、連携していくことがこれからの課題だと思っています。
現在のように、「回線はここ」「ISPはここ」と、バラバラに契約していても、電話はつながるし、メールもインターネットへ接続もできる。しかし、「何はどこまで」と範囲を決めてやる時代はもうすぐ終わるのではないでしょうか。その代わり、通信環境そのものが、「ワンストップサービス」へと変化していく。これこそがFMCの本質のように感じています。要するに、「固定も携帯も通信環境すべてひっくるめて、どこの通信事業者とお付き合いしますか?」ということを、企業さまに判断していただく時代が来るということです。お客さまの大切なICT環境を、戦略的にサポートできるパートナーを見極める目が求められるわけですね。
我々NTTグループで考えた場合でも、携帯はドコモ、固定電話のインフラはNTT東西の事業領域です。コンシューマに強いドコモと、信頼できるインフラを提供し続けるNTT東西、その間に立って、法人ビジネスに強く、トータルなICT環境をサポートできるのが、我々NTTコミュニケーションズの役割だと思っています。
固定電話と携帯電話の融合。どこでもつながる環境の実現が、実はもうそこまで来ています。固定・携帯、そしてIP電話。今まで様々な通信事業者が関わってきた市場だけに、シームレスな環境が実現するには、それなりの時間がかかるとは思われますが、時代は着実に融合へ向けて動き出しています。どんな手段を使って通信しているのか、ユーザが意識することなく、スムーズにつながり、そして適切な通話料が設定される、そんな世の中になっていくのではないでしょうか。
日本ではまだまだ産声を上げたばかりのFMC。電話番号や通話料の問題など、解決すべき課題はまだありますが、今後どのような方向に進んでいくのか、これからも大いに注目すべき存在であることは間違いないでしょう。
