法人のお客さま総合 > Business ADVANCE > ICT用語ガイド > GUIDE 006 FMC(Fixed-Mobile Convergence)
パート1 固定電話と携帯電話が融合すると、一体何が起こるのか?!
屋外では携帯電話、屋内では固定電話を使う。これが少し前のスタンダードでしたが、通話料が安くなり、携帯電話の利便性が増すにつれ、「外でも携帯、中でも携帯」というスタイルが年々定着しているように思います。これはプライベートの電話だけでなく、ビジネスシーンにおいても同じことで、社内にいるにもかかわらず、取引先からは携帯電話の方にかかってくる。そんなケースも今では珍しいことではなくなりました。読者の皆さんも「そう言われれば…」と、思い当たる人も多いのではないでしょうか。
携帯電話の普及率は今も右肩上がりで、固定電話の契約数をすでに抜いてしまいましたが、その一方で、固定網のIP化が進み、VoIPを利用したIP電話サービスの利用者数も、年々増加の傾向にあります。NTTも2010年までに現在の固定網約6000万回線のうち、その半分の3000万回線を光ファイバーを使ったIP網へと移行させたいと明らかにしたように、今後、固定電話のIP化は確実に進んでいくと見られています。そんな時代を反映して、IP化が進む固定電話と利用者が拡大する携帯電話を融合した新しいサービスを展開しようという動きが、今、大いに注目されています。それが「FMC(エフエムシー)」-----「固定電話(Fixed)」と「携帯電話(Mobile)」の「融合(Convergence)(フィックスド・モバイル・ コンバージェンス)」です。
「固定と携帯の融合」というコンセプトは以前からあったものの、ここに来てFMCを実現化する融合技術が実用レベルに達したため、昨年来、あらためて注目を集めることになったFMC。今後FMCの代表的なサービスのひとつになると言われているのが、「ワンフォン(OnePhone)サービス」です。これは「携帯端末ひとつで、固定電話(IP電話)と携帯電話の両方の機能が使える」という画期的なサービスです。Bluetooth※1や無線LANを搭載したFMC対応の携帯端末を使うことで、携帯の電波が強い屋外では移動通信網を、IPネットワークが利用できるエリアではIP網を、そしてBluetoothや無線LAN圏内では一般の固定電話網を使う、というように、ユーザ自身は「今自分はどんな通信網を使ってつながっているのか」ということをまったく意識せずに、いつでもどこでも快適な通信ができる。そんな夢のような環境が、もう現実のものになりつつあるのです。
さらに、「音声通信」だけでは終わらないところが、FMCのすごいところです。無線LANが使える、つまり携帯端末をIPネットワークのクライアントとして使うことができる、ということです。
たとえば、無線LAN受信可能範囲であれば、いつでも社内のサーバにアクセスして、必要な書類を取り出すことができます。データベースにアクセスして在庫状況を確認したり、見積書を作成したり、これから行く訪問先の住所を、地図と共に検索したりといったことが、簡単にできるようになるわけです。
今でも携帯電話はカメラやテレビ、はたまたお財布や電子マネーになったりもしますが、それらがさらに進化を遂げ、電話機を超えた「ケータイ」という名の小さなコンピュータへと進化を遂げていくのでしょう。これはますますビジネスチャンスが増えそうですね。
夢は膨らむ一方ですが、現実には日本はやっと「FMC・最初の一歩」を踏み出したばかり。まだFMCについての厳密な定義もされていない状況ですし、FMC対応端末も、今のところNTTドコモの「FOMA N900iL」と、auの「E02SA」の2機種のみ。対応アプリケーションもこれから開発が進んでいくであろうという段階です。しかし、世界的な動向を見てみても、FMCは着実に生活の中に浸透し、新たなビジネスチャンスを生むフィールドになることは間違いなさそうです。それでは、今、海外はどのような動きを見せているのか、FMC先進国の最新事情を見てみることにしましょう。
まずはFMCの先駆者イギリスです。世界で初めてのFMCサービス「BT Fusion」を開始したのが、イギリスの固定電話会社、British Telecommunications グループ(BT Group Plc.)です。「ブルーフォン・プロジェクト」として2004年6月に発表してから、ずっとFMCを進めてきた英BTですが、2005年の6月15日にコンシューマ限定の試験運用を開始(400ユーザ限定)。同年9月から本格的なサービスを展開しています。
BTが目指したのは、「1つの端末(One Device)」「1つの電話番号(One Number)」「1つの請求書(One Bill)」というシンプルな通信環境です。「屋外では携帯電話、屋内では固定電話として使う」というのが基本スタイル。具体的には屋外では英ボーダフォン社のGSM携帯電話回線の一部を借り受け「MVNO※2」としてサービスを提供し、携帯電話をそのまま屋内では固定電話として使用します。ADSL回線専用になりますが、「BT HUB」というアクセスポイントを屋内に設置し、子機とはBluetoothで接続することによって、携帯と固定の「一台二役」を実現しているのです。
それを支えているのが携帯端末に搭載した「UMA※3」という新しい技術。UMAがあるからこそ、携帯網からIP網へのスムーズでシームレスな移行が可能になっているのです。
現在はBT HUBがある家庭や会社といった屋内での通話に限られますが、将来は、屋外でもBT Fusionのサービスが利用できるようにする計画が進んでいます。BT社は「OPENZONE」という名の無線LANスポットを7800ヵ所開設していますが、今後そのスポット数をさらに拡大し、その無線LANスポット内でもBT フュージョンのサービスが受けられるようにしていくそうです。屋内外問わず無線LANを使った通話が可能になるなんて、まさに通信業界にとっては革命的!その今後を興味深く見守りたいものです。
また、お隣韓国でもFMCは進んでいます。韓国のコリアテレコム(KT)は、固定回線(固定電話、ADSL)とBluetooth内蔵の携帯端末を組み合わせた「DU:(デュー)」というワンフォンサービスを展開しています。1台のワンフォン対応の携帯端末さえあれば、屋外では一般的なCDMA携帯電話機として、屋内ではBluetooth対応のコードレス電話機として使うことができます。
ただ、韓国は日本とは違って固定電話と携帯電話の料金差があまりないことや、すでに韓国全土を携帯網がくまなく網羅しているため、どこでもスムーズにつながるという整った通信環境がすでにできあがっており、コスト面や利便性をアピールするだけでは、FMCサービスの拡大は難しい。そう考えた韓国KTは、音声中心のワンフォンサービスから、今後はCDMA,WiFi※4を使用するデータ版FMCサービス「NETSPOT swing」や動画を中心としたリッチコンテンツをWiMAX※5を採用した高速無線サービス「WiBro」で提供するなどして差別化をはかるようです。
また、世界を巻き込んだFMCの動きとして見逃せないのが、FMCA(Fixed-Mobile Convergence Alliance)と呼ばれる業界団体の発足です。世界中のFMCを推進するために、英BT社の呼びかけによって始まりました。
現在のメンバーは英BT、米AT&T、韓国KT、ブラジルテレコム、スイスコム、仏セジェテル、蘭KPN、加ロジャース・ワイヤレスなど世界の25事業者が参画しており、日本からは、NTTコミュニケーションズが設立メンバーのひとつとして加わっています。
FMCAは固定と携帯のシームレスな通信サービスを提供するための規格や技術について、定期的に会合を開き、勉強会などを実施しています。各国それぞれ通信事情は違うものの、このような国際的な取り組みは日本の将来にとっても有用である。そう判断してNTTコミュニケーションズは参画を決めました。今後、NTTグループの連携を強化して取り組んでいくことになるでしょう。
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