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ICT用語ガイド
GUIDE 003 ビジュアルコミュニケーション

パート1 時代がテレビ会議に追いついた

登場が早すぎたテレビ会議

メールや電話と違って、フェイス・ツー・フェイスで会話をすれば、相手の反応をうかがいながらすばやく確実な対応が可能です。しかし、離れた相手と顔を会わせることはそう簡単なことではありません。出張という方法もありますが、交通手段での移動に時間がかかり、忙しいビジネスマンにとって効率がいい方法とはいえないでしょう。

「出張をせずに、遠方の相手と最大限のコミュニケーションをとる」ことを可能にする方法として「ビジュアルコミュニケーション」という概念があります。これは離れた相手と音声・映像を通じて伝達する「テレビ会議」という形で1970年代に開発され、多くの人から期待されました。それから10年以上を経て1980年代後半に商品化され、実際にビジネスの現場へ導入する企業も現れました。

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テレビ会議では音声や映像などの大量なデータをリアルタイムで送受信する必要があります。しかし当時のインフラはアナログ回線が主流のため、通信速度は9.6Kbps〜14.4Kbpsであり、1988年にサービスが開始されたISDNでさえも64Kbpsというものでした。そのため、音声や映像が途中で切れてしまうことや、海外との電話でよくある遅延が発生するなど、ビジネスとして使うには安定性に欠けることもありました。また当時はテレビ会議のシステム自体が高価だったために誰もが好きなときに使えるというものではなく、本社の経営幹部と海外や国内の支店の支店長などに使用者が限られるケースが多かったようです。「導入はしたけれど、使ったのは最初のうちだけで、ビジネスツールとしてはまだ成熟していない」という声もあり、日本国内でテレビ会議は期待ほど普及しませんでした。

再び脚光を浴びるテレビ会議

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21世紀間近になり日本でもADSLや光ファイバを用いたブロードバンド時代がやってきました。通信速度が数Mbps〜100Mbpsの高速回線を安価に使える環境ができたのです。この速度はISDNと較べると数十倍〜数百倍にもなり、大量のデータを扱えることができるようになりました。この結果、テレビ会議が抱えていたボトルネックは一気に解消され、音声や映像の品質が飛躍的に向上したのです。時代がテレビ会議をスムーズに行える環境に追いついたといえるでしょう。それを証明するかのように、ブロードバンドが普及するにともなって、テレビ会議の製品もたちまち増加しました。

また、何年か前に比べるとテレビ会議の利用目的にも変化がみられます。以前は、出張費などのコスト削減を目的としてテレビ会議を導入したというケースが大半でした。最近では、社内の意思決定を早くしたい、または相談窓口などに使って顧客満足度を上げたい、という要望が増えてくるなど、従来にはない新しい利用方法が登場してきています。また、会議の映像・音声を記録することで、議事録の代わりになるような使い方をされる企業もあるようです。

しかしながら、国内ではテレビ会議はまだ一般的なコミュニケーション方法として定着しているとはいえません。その一方で、海外に目を向けると欧米ではテレビ会議は既にスタンダードなビジネスツールとなりつつあります。これは欧米では地理的な要因から拠点が離れているケースが多いために、昔から「電話で会議をする」というワークスタイルが存在したためと思われます。テレビ会議は電話会議を延長したビジネスツールとして受け入れられているのでしょう。

しかし、日本では「直接会う」ことを重要視する傾向があります。そのためテレビ会議の普及には障壁があるようにも思えます。実際、テレビ会議を導入しても「会いに行く」ことがなくなるわけではないでしょう。しかし会うことができないときに、テレビ会議を使って対応できることもあるのです。テレビ会議は「会う」ことと競合するものではなく、むしろ対面することを手助けするための道具といってよいでしょう。時間がないときに電話だけで済ませていたコミュニケーションをテレビ会議で行うようになれば、より深い話ができるようになり、今まで以上の密接した関係を築くことが可能になるかもしれません。

今後テレビ会議は、お客さまとの接点を増やしたり、社内の業務を効率化するためのコミュニケーションの基盤としても使われることが予想されます。これからは経営の面からも戦略的でポジティブな使われ方がなされるでしょう。

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