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法人のお客さま総合 > ビジネスアドバンストップページ > ICT情報最前線 >オープンソースとクラウドで実現する未来 −新たな「知の構造」の実現−
次代のICT社会がわかる近未来コラム
2011年3月10日公開
−新たな「知の構造」の実現−
オープンソースソフトウェア(OSS)は現在、情報通信システムのあらゆる領域で利用されている。OSSの代表的な例としては、コンピュータの基本ソフトウェアであるLinuxやWebサーバーソフトウェアのApache、データベースのMySQL、PostgreSQLなどがあり、いずれも高いシェアを誇る。たとえばLinuxは国内企業の約40%が導入しており、さらにApacheWebサーバーは全世界で70%以上のシェアを占めているとの報告もある。
また、大容量データの並列処理を実現するHadoopや、プログラミング言語であるRubyおよびPythonなどのOSSも浸透している。このように、OSSは大きな広がりとなっている。OSSが幅広く利用されるようになった背景には、最先端のソフトウェア技術の成果が迅速に得られること、オープンスタンダード化の潮流に乗ることができること、それらの帰結としてTCO削減が可能となるといった理由があると推察される。一方、開発者から見た場合、「自由な人間の創造を外向きに噴出させる一つの刺激材料であった」ことが、一つの大きな理由といえる。
世界中の無数の開発者がインターネットでつながり、そこで流通する情報は組織の指揮系統を軽々と飛び越えてダイナミックな活動に発展した。その集合知の成果ともいえるOSSが、公共財として社会に還元するような動きに発展したと捉えられるのだ。
OSSの本質は、ソフトウェアを誰でも自由に改良できる点にある。しかし、あまりに過激すぎると反ビジネス的な側面も強くなるので、少しトーンダウンし、ソースコード公開に留めた中途段階の産物となった。OSSの動きは、社会や産業構造の動きとも重なるものがあり、「独占的な産業」から「自由な競争的産業」構造に変わっていくことと同じ動きと捉えることができる。つまり、野放図に任せていくと「混沌」状態となるので、人の叡智によってうまくコントロールされて発展する道を探ろうということである。また、「自由」の対象範囲を拡げた「クリエイティブコモンズ(Creative Commons)http://creativecommons.org/」(著作物や創造物に対し、著者自らが利用条件を明示することにより、著作物の柔軟な広がり・利用・第三者との共同作業を促進しようとする取り組み)の動きとも繋がっていくのではないかと考える。
こうした動きの中で、OSSはクラウドコンピューティングの実現にも大きな役割を担うことになった。インターネットはこれまで、人と人をつなぐ場(プラットフォーム)として活用されてきたが、今後は異業種協調型の知識産業構造の場になっていくのではないか。オープンソース型のクラウドコンピューティングは、その道筋への第一ゲートをくぐったと捉えてもいいのかもしれない。
同様に、ネットワークに接続された無数のセンサーを物理世界のさまざまな場所に設置し、そこで得られたデータを収集・共有して緊密な連携を実現するCPS(Cyber Physical Systems)もその機能の一部はクラウド上で実現され、異業種協調型の知識産業構造の場になるだろう。こうした種々の連携により、今後データは「情報」や「知識」、「知恵」へと変化し、その共有によって地球環境問題の解決や新たなビジネスパラダイムを創造する動きへとつながっていくのではないだろうか。
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NTTグループでも、単にOSSを利用するだけではなく、オープンソース型のクラウドコンピューティング環境の実現に向け、米Rackspace社やNASA(アメリカ航空宇宙局)を含む世界中の約50団体が共同して進めているOpenStack(http://www.openstack.org/)に参加し、実際にコードを提供し始めています。
コラムナビゲーター
NTT情報流通プラットフォーム研究所 所長
桑名 栄二
1984年日本電信電話公社入社。
以来NTT研究所にて、情報処理システムの研究開発に従事。
1991年〜1992年ミシガン大学客員研究員。
その後、NTTブロードバンドイニシアティブ(株)、NTTレゾナント(株)、NTTコミュニケーションズ(株)にて大規模システム開発やネットワーク関係のプロジェクトマネジメント業務に従事。
2010年7月から現職。
著書「User Interface Software」(Wiley、共著) など。