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次代のICT社会がわかる近未来コラム
2011年1月12日公開
−情報共有が生み出す価値とは−
社会的な潮流として、ここ数年で見られる新たな動きに「二極化、二分化の崩壊」が挙げられる。情報通信の世界においても、場面に応じて生産者(プロデューサー)と消費者(コンシューマー)が混ざり合う「プロシューマー化の波」が押し寄せている。従来は情報の生産者とその消費者は明確に分類されていたが、インターネットによって世界規模の人間が繋がった情報通信環境と、多様化した人々の価値観のもとでは両者の間に明確な線引きはなく、WikipediaやBlogの利用に見られるように、ユーザーはある時は情報の生産者になり、また別の時には消費者にもなるのだ。
さらにTwitterやFacebookといったソーシャルメディアでは、同じ関心を持つ人間同士が簡単かつ瞬間的な情報の共有を実現する「即時共有の波」を巻き起こしている。これを実現しているのが、通信における即時性と双方向性である。必要な時にすぐに通信できる即時性があり、さらに一方通行ではなく利用者同士が情報をやり取りできる双方向性の両方が実現されることで、あたかも時間や空間を共有しているかのようにコミュニケーションを図ることができる。こうした情報共有のスピードの変化も、コミュニケーションに新たな可能性をもたらしているといえるだろう。
プロシューマー化や情報の即時共有を実現する通信環境は、人間同士のコミュニケーションだけにメリットがあるわけではない。「IoT(Interne to fThings)」という言葉があるように、我々の身の周りにあるさまざまなモノ同士(Things)がインターネットを介して情報を共有するという時代が到来しつつある。2013年には1兆個(人ひとりに対して140個)のモノが接続されているとの予測もある。
モノ同士が情報を共有することで、どういったことが実現されるのだろうか。たとえば機器に内蔵されたセンサーにより蓄積された情報を複数の機器で共有し、その情報を元に個々の機器が最適な動作を自動的に選択する、といったことが考えられる。このような通信を「M2M(Machine to Machine)」と呼び、すでに利用され始めている。
ただ、機器をネットワークに接続することを考えた場合、ネットワークへの接続が困難な機器における通信をどう実現するかという問題が生じる。これを解決する技術として、現在NTTにおいて研究を進めているのが「WAUN(Wide Area Ubiquitous Network)」と呼ばれる無線ネットワーク技術である。
このWAUNでは、さまざまな機器に組み込むことができる小型通信端末を利用する。用途としては、各種センサーを利用した環境モニタリング、車両運行管理、外出先からの家電の制御などが考えられており、応用範囲は極めて広い。
こうしたIoTの技術などにより、M2Mによる機器同士の情報共有やIoTを介した人と人とのコミュニケーションが活発に行われるようになれば、それが新たな価値を生み出すものと期待される。
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2010年11月29日〜12月1日、東京でIoT2010(http://www.iot2010.org/)が開催されました。IoTとは、現実社会のモノゴトがインターネットを通じて繋がることによって想像される、新しいビジネスや価値、それを実現するアーキテクチャーや要素技術の総称です。パソコン、携帯電話、すべての家電機器やセンサー、そして自動車を含めたあらゆる家庭内のエネルギー機器が繋がる世界に向け、それを支える技術、サービス、課題が議論されています。
コラムナビゲーター
NTT情報流通プラットフォーム研究所 所長
桑名 栄二
1984年日本電信電話公社入社。
以来NTT研究所にて、情報処理システムの研究開発に従事。
1991年〜1992年ミシガン大学客員研究員。
その後、NTTブロードバンドイニシアティブ(株)、NTTレゾナント(株)、NTTコミュニケーションズ(株)にて大規模システム開発やネットワーク関係のプロジェクトマネジメント業務に従事。
2010年7月から現職。
著書「User Interface Software」(Wiley、共著) など。