『日本の色』
学生時代に読んだはずの本だが、最近読み直して感心した。僕らは物心ついたときには12色の色鉛筆なるものが目の前に存在し、「肌色」や「空色」という名称から色彩というものを理解した。さらに美大学などに通って色彩学などを半端にかじるとなおさら目に鱗がつく。マンセルやオストワルドの標色系のような、色彩を立体的に配列された体系としてとらえ、色のことがわかったような気になっている。
しかし、もしも「色」という概念なしでこの世に相対したとするなら、僕らは果たして自分自身の力で、色を発見し、それを名指すことができただろうか。本書の中では、「赤い」「黒い」「白い」「青い」という「い」がついて形容語になっている四つ、すなわち「明=赤」「暗=黒」「顕=白」「漠=青」という四つの観念が日本人の色の意識の始まりであると語られている。なるほど、色とは、うつろう自然や世界の中から、言葉で輪郭を与えられた価値であったか、と気づくほどに、世界が違って見えてくるのである。
(朝日選書) |