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Slow Time
取材の舞台裏

このページは、Business ADVANCEの取材を通してのこぼれ話や裏話など、記事では紹介していないサイドストーリーをお伝えしています。

今、新たなるチャレンジ!

嗚呼、憧れのヨットハーバー

 中高年世代の憧れのスポーツとして真っ先に挙げられるのが「ヨットやクルーザー」などのマリンレジャー。そこでSlow Timeでもヨットを取り上げることにしました。

 取材地は「東京夢の島マリーナ」。657隻の係留スペースに15艇分の修理ヤード、4基の給油施設、レストランやシャワールーム、マリンショップを備えた本格的なマリーナです。

 取材に対応してくださったのは 『東京ベイヨットクラブ』事務局の毛利さん。赤銅色の精悍な顔、引き締まった体。ヨット歴35年という毛利さんはまさに海の男を感じさせる雰囲気です。

 「せっかくマリーナに来ていただいたのだから、船内へご案内しましょう」と、クラブ艇で取材することになりました。憧れのハーバー内、しかもヨットに乗り込めるというだけで、もう、普段とは違うテンションに…。

 毛利さんが磁気カードでロックを開けると、関係者用入り口の小さな扉をくぐり抜けるようにフェンス内へ入りました。ポンツーン(浮き桟橋)を歩けば、その両側にヨット、モーターボート、クルーザーが船体を波に揺らせて係留してあります。

 「大きなクルーザーは1億円以上もするんですよ」などと、歩きながらいろいろ教えてくださる毛利さんですが、こちらはなにを聞かされても「ほう」「ふーん」「へえ」。住む世界が違うというか、返す言葉が見つからないまま、クラブ艇に到着。目の前に現れたのは、全長30フィート(9メートル)、白いハル (船体)にブルーと金色のラインが走るクラブ艇。1本マストのミドルボートクラスの俊足セイリングクルーザー、その名も『のほほん』 だ。

東京湾の最深部にある「東京夢の島マリーナ」。銀座からなら車で20分程度の近さです。

東京湾の最深部にある「東京夢の島マリーナ」。銀座からなら車で20分程度の近さです。

クルーは何でも屋

キャビン付きのヨット(セイリングクルーザー)は外洋航海もOK。いつかは大海原に乗り出したいものです。

キャビン付きのヨット(セイリングクルーザー)は外洋航海もOK。いつかは大海原に乗り出したいものです。

 “ヨットには、体をかがめ、素早く乗り込みます。これがコツ”と、HPに書かれていたのを思い出し、早速実践してみると、なるほど、デッキに上手く降り立つことができました。

 さて、船体を見回せば、外から見るより遥かに小さいではありませんか。メインハッチは目の前に、私たちを誘うように口をあけて待っています。ここでも体をかがめ、ハッチ上部をつかんでスルリとキャビン内に滑り込みます。

 船室は狭く、これでもか、というくらいに施設・設備がコンパクトに設えてあり、それがまた面白い。板を引き出し、梁に渡せばテーブルができ、ベッドができる。小さいながらキッチン、流し台もある。気圧計が鈍く光り、GPSや魚探も装備。まるで大人のおもちゃ箱といった感じです。

 「キャビン内はキャンピングカー同様、効率よく造られています。とはいえ、海の上で何かあると、車と違ってカーショップなどに駆け込むわけにはいきません。航海中にエンジンが故障すれば自分たちで修理しなければなりませんし、不具合が生じればすぐに応急処置を施す必要があります」と毛利さん。

 クルー(乗組員)は時に大工、時に電気屋、時にエンジニアと、何でもこなせることが求められるというわけです。もちろんクルー全員の食事を作るコックの仕事もとても大事で、おいしい料理を作ることができれば、それだけで立派なクルーになれること請け合いです。

耳寄り情報をゲット!

週に3〜4回のクルージングライフを送るという毛利さん。でも、その大半は仕事を兼ねているだのだそうです。

週に3〜4回のクルージングライフを送るという毛利さん。でも、その大半は仕事を兼ねているだのだそうです。

これがメインハッチ。海が時化(しけ)ればハッチを閉め、気密性を高める。開口部は狭いので体をかがめて滑り込むように入るのがコツ。

これがメインハッチ。海が時化(しけ)ればハッチを閉め、気密性を高める。開口部は狭いので体をかがめて滑り込むように入るのがコツ。

 ところで、毛利さんをはじめ、いわゆるヨットマンといわれる方々は、どんな手順でヨットに乗る機会を得るようになったのでしょうか。

 「かつてのヨット界は、学生時代にディンギーをやり、社会人になってからクルーザーのクルーになるというのがほとんどでした。ですから既に社会人になり、いきなりヨットマンを目指しても、当時はその受け皿がなかったんです。ところが今は、その世代交代が上手くいっておらず、船はあってもクルーがいないため、年間に1回でも出航するヨットは全体の4割ほどしかありません。クルー不足で陸に上がったカッパ状態のヨットが少なくないんです」とのこと。なんと、それでは宝の持ち腐れではありませんか・・・。しかし、逆説的に捉えれば、それだけヨットに乗れるチャンスが増えたということでしょうか。

 もちろん、「目指すはスキッパー(船長)」という方も多いと思いますが、動力を搭載しているヨットであれば、小型船舶操縦免許が必要となります。現在の免許区分は、従来(平成15年6月以前)の「1級〜5級」までの5区分から、ボート・ヨット用の「1級」と「2級」、それに水上オートバイ用の「特殊」の 3区分に編成され、以前よりかなり取りやすくなったといわれています。

 また、東京夢の島マリーナ、東京湾マリーナ、横浜ベイサイドマリーナなど、東京湾だけでも意外に数多くのマリーナが身近にあるものです。湖や河川にマリーナが設置されている場合もあります。この夏、ぜひ皆さんも“夢”という名の海へ“チャレンジ(出航)”してみてはいかがでしょうか。

ハッチを入ってすぐのバース(ベッド)。狭いキャビンは考えられる限り効率よい設計で、バウ(船首)やスターン(船尾)のバースで4〜5人が寝ることも可能。

ハッチを入ってすぐのバース(ベッド)。狭いキャビンは考えられる限り効率よい設計で、バウ(船首)やスターン(船尾)のバースで4〜5人が寝ることも可能。

 「個人プレーよりチームワークが優先されるのがヨット。そういう意味でも、若さより、協調性の高い中高年向き」という毛利さん。

「個人プレーよりチームワークが優先されるのがヨット。そういう意味でも、若さより、協調性の高い中高年向き」という毛利さん。