革新のプロジェクト NTT Com HTML5 ラボプロジェクト

HTML5がWebを、世界を変えていく―。NTT Comの「R&D」を担う技術開発部において、次世代Webブラウザの標準仕様であるHTML5をはじめとする、最先端のWeb技術の普及促進を図るプロジェクトが発足しました。業界を牽引するリーダーとして、革新を担う技術者として、彼らはどのような取り組みを行っているのでしょうか。その熱い使命と志に迫ります。

高い志を胸に、
Webの未来を切り拓く。

飯田 アレン 真人 技術開発部
理学部 情報科学専攻
2012年入社

スマートフォンやタブレット端末などが普及する中で、動画やアニメーションなどを駆使したリッチなWebアプリケーションが登場しています。次世代Webブラウザの標準仕様であるHTML5(※1)を利用することで、映像・音声によるビジュアライゼーションは充実し、双方向通信やP2P通信、オフライン環境での利用にも対応できるようになります。
Webが見るだけのものから、操作して使えるものになる―。今まさに、Webサービスの可能性は、大きく広がろうとしているのです。
そんな中、NTT Comでは2014年のHTML5正式勧告に向けて、啓蒙活動の強化を決定。HTML5を中心に最先端のWeb技術の普及促進を図り、新たなICTサービスの開発を推進することを目的に、プロジェクトチームを発足し、社内外の開発者支援と独自の新サービス開発を開始しました。自社ビジネスの発展はもちろんですが、その背景にあったのはWeb業界の発展に貢献していくという高い志でした。
同プロジェクトの主な取り組みは(1)技術専門サイト「HTML5 Experts.jp」による情報発信(2)技術セミナーやハッカソン(※2)、コンテストなどのイベント開催、コミュニティの支援(3)HTML5を利用した独自の新サービス開発の三つ。情報提供と活動支援、サービス開発という観点から、Webの未来を切り拓くための挑戦を続けています。

※1 標準化が進められている次世代Webブラウザ標準仕様であり、2014年10月28日に正式勧告となった。
Webをあらゆるコンテンツ、アプリケーションのプラットフォームに進化させる技術として注目を集めている。

※2 同じテーマや技術に関心を持つエンジニアが集まり、協力しながら短期間で集中的にプログラミングを行い、アイデア、技術力を競い合う催しである。ハック(hack)とマラソン(marathon)を組み合わせた造語。

ブラウザ同士がつながる新技術。
「WebRTC」を世界へ広げる。

水嶋 彬貴 技術開発部
理工学研究科 情報科学専攻
2010年入社

NTT Comでは、新サービス開発の一つとして、HTML5や「WebRTC(※3)」を用いた技術の普及に特に力を注いでいます。この技術はブラウザ同士がサーバを介さずに直接通信し、映像や音声をやりとりできるというものです。このWebRTCを活用したサービスの開発者向けに「SkyWay(※4)」をリリースし、オープンソース(※5)にすることで、HTML5や「WebRTC」技術の普及に努めています。
「サービスの一部をオープンソースとして公開することは、NTT Comとして初めてのもの。社内の調整は困難でしたが、『Webの未来を切り拓く、そしてそれは将来必ずNTT Comのためになる』という熱い想いで各部署に説明し、受け入れていただくことができました。これは当社にとっても、業界にとっても大きな一歩であったと思います」(仲 裕介)
Webが革新するターニングポイントにおいて、会社としても大きなチャレンジをしていく。その姿勢は通信業界をリードしていくNTT Comならではのもの。「SkyWay」の開発を主に担当した飯田も、大きな喜びを感じながら、開発に臨んでいたようです。

本間 咲来 技術開発部情報理工学系研究科
コンピュータ科学専攻
2011年入社

「『SkyWay』は『WebRTC』を簡単に利用できるフレームワーク。開発難度の高いWebRTCを用いたアプリケーションを簡単に開発できるようにするための、プラットフォームとライブラリです。それに付随したサンプルアプリケーション(字幕付きボイスチャットなど)を、チームのメンバーや外部のベンダーと協働して、開発に携わりました。まだ一般的に知られていない『WebRTC』の技術を扱えることは、エンジニアにとって何よりの喜びであり、苦労でもありました。情報が少ない中で、しっかりと技術を熟知していく……。その先にあるスペシャリスト同士の連携はとても刺激的なものでした。メンバー全員が他の仕事を抱え多忙な中でも、短期間でサービスをリリースできたのは、互いに尊敬し合えるエンジニアが集まったチームだからこそです。最先端の技術を扱えることはもちろんですが、チームワークの大切さを学ばせてもらった気がします」(飯田 アレン 真人)
現在、大規模なICT企業の多くが、開発を外注に頼っている状況があります。そんな中でも、NTT Comは技術を中抜きにせず、企画から開発までを担える技術者集団「技術開発部」という強みを持っています。海外の有力なベンチャーがそうであるように、革新的なWebサービスを創造していくためには、こうした機能が必要不可欠だといえるでしょう。
「このチームは、全員が高度な技術を持っています。少数精鋭でプロジェクトを進めているため、個々の強みを活かし、それぞれの役割を持ちながらも開発に臨んでいます。いわば『全員野球』のようなスタイルですね」(仲)

※3 パソコンやスマートフォンのブラウザ間でのリアルタイム通信を実現する画期的な技術で、広義のHTML5の一つ。ブラウザの機能だけで通信ができるため、通信する相手の端末やアプリケーションに依存せずにコミュニケーションできるほか、他のサービスとの連携が容易である点などから、今後の応用に注目が集まっている。

※4 Web開発者が高度な知識の習得や環境の整備をすることなく、WebRTCを活用したアプリケーションを簡単に開発できるようにするためのサービス。WebRTCのプラットフォームの公開は国内初。

※5 ソフトウェアのソースコードを無償で公開し、誰でもそのソフトウェアの改良、再配布が行えるようにすること。

技術者の魂を揺さぶる、
場づくりを。

仲 裕介 技術開発部
工学部 知能情報システム工学科
2007年入社

「SkyWay」のような技術開発への取り組みはもちろん、技術者が集うコミュニティへの支援も重要になります。Web技術を広めるには、コミュニティの影響力が非常に大きな意味を持つからです。以前から技術者コミュニティに参加し、活動を支援してきた本間は、プロジェクトの立ち上げによって、より積極的に情報を発信していくようになったといいます。
「私は、Web開発者のコミュニティである『html5j(※6)』の活動を支援しています。技術開発と並行しながら、月1回開かれる勉強会をはじめ、さまざまなイベントの企画・運営に携わっています。他社のスタッフと協働しながら、Web業界の発展に貢献していけることは、とても大きなやりがいになっています。毎年1,000-2000人規模のカンファレンスを実施しているのですが、そこには各社のトップエンジニアが集い、白熱したセッションが展開されます。事前準備は非常に大変ですが、多くの技術者にとって有意義なものになっていると信じています」(本間 咲来)
こうしたコミュニティ支援のイベントや、情報提供サイト、技術開発などの裏では、綿密なブランディングとプロモーションが行われています。そこで、活躍しているのが水嶋です。
「コンシューマー向けのブランディング・プロモーションを経験していたため、より多くの人に伝えていくための施策を担当しています。今回の対象は、一般のユーザーではなく、独自の行動指針を持つWeb技術者。『お得感』や『利便性』を訴える一般的な展開では、商売っ気を感じて技術者が逃げてしまうため、『Web業界の発展』『社会貢献』といったテーマを軸にしたプロモーションを行いました。また、技術的にも市場的にも魅力的なネット映像配信を実施し、新しい配信手法の創造にも挑戦。より気軽に、そして楽しく配信や視聴ができるように企画・開発を進めています」(水嶋 彬貴)

※6 HTML5などのWebプラットフォーム技術を使った「ものづくり」に関わる、すべての人々を支援する非営利・中立のコミュニティ。日本のWebクリエイター/エンジニアのスキル向上に寄与している。

NTT Comから始まる、
新時代の鼓動。

プロジェクトメンバーの懸命な活動は、すでにいくつかの成果を上げています。技術者向けの情報発信サイト「HTML5 Experts.jp」は公開初日で2.5万PVを達成し、隔月で開催している開発者向け勉強会「WebRTC Meetup」によりSkyWayの登録件数は1500件以上となりました。また、内製開発したパイロットサービスやハッカソンはワールドビジネスサテライトで放送され、日経産業新聞の1面を飾るまでに至りました。こうした活動もあり「WebRTC Conference Japan」の実行委員会委員長に任命され、日本初のカンファレンスで大成功を収めました。
「HTML5によって、Webはより自由になります。最先端技術は技術者の心を揺さぶり、新たな発見へと導いてくれる。そんな素晴らしい仕事ができることを誇りに感じ、新たな可能性を引き出していきたいと思います」(飯田)
「技術者としてWeb業界の発展に貢献できることは大きな喜びです。そして、HTML5によって生まれる『WebRTC』のような技術が、新たなコミュニケーションのかたちを実現し、もっともっと社会を楽しくしてくれると思っています」(水嶋)
「HTML5は、今まで難解な技術でしか実現できなかったことを、誰でも簡単にできるようにするものです。それによって開発者の層は厚くなり、産業が活性化し、社会がよりよくなっていくはずと信じています」(本間)
「Webだけにとどまらず、さまざまな業界の中心技術になり得るもの。それがHTML5です。たとえば自動車をクラウドとつないだり、テレビ放送と融合したりするなど、その可能性は無限に広がります。HTML5を、社会をつくる技術に育てていきたいですね」(仲)
メンバーたちが語るように、このプロジェクトは、私たちに想像もできないような新時代の鼓動を聞かせてくれる、可能性に満ちたものです。業界のリーダーとして最先端の技術を広めていく。技術者としてWebの発展に貢献していく。その使命と志が、さらに大きな価値を生み出してくれるでしょう。