革新のプロジェクト 美容カウンセリングAI開発プロジェクト

資生堂さまが提供するスマホアプリ「おしえて!ビュー子」は、アプリ中に登場するキャラクター「ビュー子」が、プロのアイメーキャップ術や美容情報について、チャット形式で答えてくれるという、美容カウンセリングアプリ。友達に話しかけるような気軽さで、メイクに関することだけでなく雑談などの気軽な会話も楽しむことができます。そこに活かされているのが、NTT Comのクラウドサービスや AI(Artificial Intelligence:人工知能)といった最新技術。「ビュー子」誕生の背景には、どのようなストーリーがあったのか、プロジェクト担当者たちがその想いを語ります。

お客さまの将来像を、
一緒に描きながら考える。

松永 京子 第四営業本部
工学部情報工学専攻
2005年入社

「美しい生活文化の創造」を企業理念に掲げる資生堂さま。一人ひとり異なる美のニーズに応え、チャレンジングな事業展開で、そのブランドにさらなる磨きをかけています。今回のプロジェクトも、そんなチャレンジのひとつとしてスタートしたもの。「スマホを使って美容カウンセリングができるようなサービスをつくれないか」というお客さまからのご相談がきっかけでした。
「かねてから、ワークスタイル変革のためのコミュニケーション基盤としてNTT Comのクラウドサービスをご利用いただくなど、お付き合いの深いお客さまでしたが、情報システム部門以外の部署から、こうしたご相談をいただくのは初めてのケースでした。まずはNTT研究所の成果をリストアップしてご紹介し、興味を持っていただいたものについては実際に研究所でご覧いただくことにしたのです」(松永 京子)
資生堂さまが抱える課題は大きく2つ。ひとつは、若年層との接点拡大を図ること。百貨店などの化粧品売場では、質の高いカウンセリングを受けることができますが、10~20代の若年層にとっては「勇気がいる行為」であり、それが資生堂さまと若年層の出会いを妨げている要因だと言います。もうひとつは、多様化するカウンセリングニーズに対応すること。自分なりの“かわいい”を実現したいというエンドユーザーからのご要望に応えていく必要がありました。
「ご提案にあたっては、お客さまが理想とする将来像を実際に絵で描き、ICTを活用した具体的なシーンをお伝えしていきました。その中で、“食べ物の写真を撮るだけで自動的にカロリー計算をしてくれる技術の研究”や“自撮り写真からシミ・しわを検出し、最適なファンデーションを判断してくれる技術の研究”など、さまざまな研究成果をご紹介したところ、当社の技術の可能性に大きな期待を抱いていただけました。そういった取り組みの中で、現在のAI技術で実現できるアプリをご提案し、採用していただくことができたんです」(石原 瑛美)
ご提案したのは、自然言語処理技術(※)を駆使した美容カウンセリングアプリ。若年層になじみ深いSNSのスタイルで、アプリ利用者が入力したワードを認識し、回答してくれるというものでした。しかし、AIでのカウンセリングは、NTT Comにとってもお客さまにとっても、前例のないプロジェクト。実現に向けて、手探りの状態で進められていくことになったのです。

※人間が日常的に使っている自然言語をコンピュータに処理させる技術のこと。

「ビュー子」を愛されキャラに。
それが、みんなの合言葉だった。

石原 瑛美 ソリューションサービス部
情報学類専攻
2006年入社

プラットフォームの開発においては、NTT Comのクラウドサービス「Enterprise Cloud」を活用し、突発的に膨大なアクセスが生じても、柔軟に対応できる仕組みを整えることができました。技術的な問題はほとんどなかったものの、カウンセリングのためのコンテンツ制作の段階では、会話シナリオを一から作成するなど、大きな苦労がありました。
「このサービスで最も大事なのは、『ビュー子』に親しみを感じてもらうこと。ですから、キャラクターの設定については、お客さまと何度も打ち合わせを重ねて納得がいくまで議論を続けました。“あまりしつこいと嫌われてしまうから、少しクールなキャラの方がいい”とか、“『ビュー子』はこんなこと言わないよね”とか。周りの人たち見ると、 “何を話しているんだ?”と思われていたかもしれません(笑)」(松永)
「自然な会話の流れをつくることも、大変でしたね。どういうプロセスで美容のアドバイスをしていくかは重要なポイントでした。メークの相談をして、一方的に情報を提供して終わりでは、エンドユーザーはすぐに去ってしまう可能性もあります。アプリの中では、エンドユーザーにオススメ商品もご紹介するので、ただのPRだと思われないように工夫を凝らしていきました」(石原)
「ビュー子」を愛されキャラにしよう。メンバーたちはそれを合言葉に、一心不乱にコンテンツを制作。独自のマーケティングや調査はもちろん、プロジェクトの途中からはプロのシナリオライターも交えて徹底的にコンテンツをブラッシュアップしていったのです。
「『ビュー子』のクオリティを向上させるために、複数回にわたってモニター調査も実施しました。AIは利用されることで学習していくものですから、育成フェーズも考慮し、より精度を高めていきました」(石原)
「私たちがそこまで一生懸命になれたのは、お客さまの強い情熱があったから。キャラクターの名づけや設定、会話の中身、どれをとってもひとつとして妥協することなく、お客さま側でも徹底的に議論がされていたのです。そのお客さまの想いに応えたい。お客さまの期待を超えたい。その一心でした」(松永)

使われるほど、可愛くなる。
「ビュー子」は、まだまだ成長中!

およそ2年半の開発期間を経て、「おしえて!ビュー子」は念願のリリースを果たしました。多くの若年層ユーザーにダウンロードされ、毎日ビュー子との会話を楽しんでいただいています。「マスカラ」「アイライナー」「アイシャドー」といったキーワードはもちろん、「パンダ目」「一重まぶた」など個々の悩みにも反応し、一人ひとりに合わせてアドバイスしてくれます。
「AI技術を活用したアプリの開発という新たな取り組みで、プロジェクトマネージャーとして手探りの状態からここまでやってくることができたことは、自分自身の成長に大きくつながったと感じています。サービスがリリースを迎えたからといってここで『ビュー子』のプロジェクトが終わったわけではありません。現在も会話のパターンを増やし続けていますし、今後はアイメーク以外のアドバイスも行えるように取り組んでいます。また、『ビュー子』が会話を通じて収集したエンドユーザーの生の声を、ビッグデータとして解析し、お客さまのマーケティング活動にも応用していくことができます。今後も、お客さまと一緒に『ビュー子』を成長させていきたいですね」(石原)
「『ビュー子』のアドバイスに対して、“ありがとう”と返してくれるエンドユーザーがたくさんいます。それを見て、私たちの仕事が、誰かの役に立っていることを実感できています。今後も、より多くの人たちに『ビュー子』を愛していただけるよう、頑張っていきたいですね」(松永)
「ビュー子」に“ありがとう”とメッセージを送って試してみると、“どういたしまして”と返してくれました。資生堂さまとNTT Comのメンバーが愛を持って育てた「ビュー子」は、とても愛らしく、美しくなるためのアドバイスをくれる才女でもあります。あなたも「ビュー子」を育ててみませんか?