2011年ダイアログ

私たちは、さまざまなステークホルダーとの対話の機会を設け、コミュニケーションを深めるべくダイアログを実施しています。
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ダイアログ

本業におけるCSR活動を加速させ、社会の持続的発展に寄与していきたい

本業におけるCSR活動を加速させ、社会の持続的発展に寄与していきたい

NTTコミュニケーションズグループでは、「人と社会と地球のつながりへ貢献する」をテーマに、本業を通じたCSR活動を積極的に展開しています。今回の ダイアログでは、ソーシャルビジネスに造詣が深い斎藤槇氏を迎え、弊社のICTサービスによってどのようなCSR活動が可能かを語り合いました。

〔ICTの社会性〕
ICTそのものが、社会・経済活動を支えるソーシャルなサービスです。

斎藤
さまざまな社会問題が顕在化する今、その解決策として世界的にソーシャルビジネスへの期待が高まってきています。特に我が国では東日本大震災後、社会全体がソーシャルな方向へと向かい始めていると思いますが、ICTサービスにはどのような可能性があるのでしょうか。
海野
まず我々がご提供しているICTそのものが、ソーシャルな側面が強い技術ならびにサービスであるといえます。ご承知のようにインターネットの誕生は、今まで不可能だったことも可能にするソーシャルなコミュニケーションを実現しました。通信事業者として、そうした社会の進歩に大きく寄与してきたという責任と自信があります。
また弊社は、社会・経済活動をICTで支える企業として「つなぐ」ことを社会的使命と位置づけていますが、情報通信は「距離と時間を超越するもの」であると定義できることからも、本業においても今後、ますます皆さまに貢献できるものと考えています。
斎藤
東日本大震災時は、どのような対応をされたのですか。
海野
東日本大震災は人々に甚大な被害をもたらし、情報通信ネットワークも大きなダメージを受けました。NTTグループでは、一刻も早く皆さまに通信手段を提供するべく、衛星を使った公衆電話サービスを開始したほか、切れた通信ケーブルや壊れた交換機の復旧に務めました。
被害状況が明らかになるにつれ、さまざまな業務で支障がきたしているお客さまが多いことがわかりました。たとえば、仙台にあったお客さまのコールセンターでは、スタッフの不在により業務遂行が不可能になりました。そこでコールセンターへの電話を東京や大阪へ迂回させました。また、オフィス勤務が困難な状況の解決策として、NTTコミュニケーションズでは、クラウドを活用した在宅勤務環境の整備をお手伝いもしました。ほかにも、社員の安否状況を確認するためのサービスに対するお問い合わせも数多くいただきました。
斎藤
距離と時間を超越できるICTは、さまざまな社会支援に役立ちそうですね。これからも、社会にはどんなニーズがあるのかを丁寧にヒヤリングして技術開発に結びつけていただけたら、よりシンボリックなサービスが誕生するかもしれませんね。
海野
いろいろ顕在化している社会的課題に対して、テクノロジーで何ができるのかを探ることは重要かつ有意義なことだと私も思います。実際、ネットワークやさまざまな端末によって、今までできなかったことが次々と可能になってきたのですから、我々としてはさらに研究開発を加速させ、さまざまなオポチュニティを提供していきたいですね。

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〔ソーシャルビジネスへの可能性〕
クラウドやスマートコミュニティーの領域で、本業における社会貢献を着実に行いたい。

斎藤
例えば、ある米国のアウトドア用品メーカーでは、環境に配慮した製品づくりに特化しています。ペットボトルのリサイクルによるフリース製造を業界世界初で手がけたのをはじめ、現在では製品製造における環境負荷を分析・評価する仕組みを構築して商品管理を行っています。今後はそれを発展させ、服をスキャンしただけで環境負荷がわかるように業界共有化を進めていくそうですが、こうした皆がWin - Win(勝者)になる発想は大切だと思います。
海野
スキャン技術は、相当高度なところまで技術開発が進んできた領域です。従来、コミュニケーションといえば、B to BやB to Cが一般的でした。しかしここに来て、マシン同士をつなぐM to Mでめざましい発展があります。こうした新しい領域でのICT活用は、ソーシャルなサービス開発にも大いに役立つと思います。
また、環境に配慮という面から再生可能エネルギーへの関心も高まっていますが、自然エネルギーを活用する再生可能エネルギーは安定性を欠くという性質があるため、自律分散的な電力需給バランス制御を高度に行うスマートコミュニティー技術が必要となり、我々のようなICT企業が貢献する余地はたくさんあると思います。これらの分野で、着実に取り組みを行っていきたいと考えています。
そのほかにクラウドサービスにもその可能性があると思いますよ。
斎藤
確かにキーワードとして「クラウド」という言葉に触れない日はないくらいですが、クラウド化が進むと社会はどうなっていくのですか。
海野
ICTサービスは実際に活用してみて、初めてその効果が実感できるという場合もあります。クラウドサービスは、まさにそんな例ですね。これは情報をまさしく"雲の中"に預けてしまうものですが、津波で戸籍情報が現実に流失してしまうと、手元に情報を持っているのと、どこか安全な場所に預けるのと、どちらが良いのか、誰もが悩み始めました。大震災は大変痛ましい出来事でしたが、これを契機にクラウドサービスへの移行を真剣に検討する機運が訪れたのも事実です。
クラウドサービスは情報を預けるだけでなく、どの企業も行っているようなルーチンワークをクラウド上で処理することができるので、その余力をよりクリエーティブな業務へ回すことができます。震災からの復興や日本経済の再生にも、クラウドをはじめとするICTサービスは貢献できるはずです。

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〔CSRにつながるさまざまな取り組みと課題〕
業務の中で社員が達成感を得られる組織づくりも、弊社にとってCSRの大きなテーマです。

斎藤
お話を伺うと、ICTサービスは社会的ニーズが高い事業だということがわかります。ところで御社はCSRについてどのように取り組んでいきたいとお考えですか。
海野
我々のようなインフラ事業を中心とするICTサービス企業は、皆さまが必要とするサービスをしっかりご提供することが社会的役割の第一義です。そうしたことを踏まえ、本業におけるCSRを確実に展開することが重要だと考えています。また、そうしたCSR活動が、企業の持続的成長の可能性を高めるものだと思います。
斎藤
インターネットのアドレスや電話番号などは大切な個人情報ですが、たとえば女性などには安全面でそれを公にしたくないという思いがあります。御社で提供されている「050あんしんナンバー」は、まさにそうしたニーズに応えた本業におけるソーシャルなサービスの例ですね。
海野
「050あんしんナンバー」は、プライベートを守るための、もう1つの「公開用」電話番号としてサービスを開始し、たいへん好評をいただいています。ネットショッピングや会員登録、お子さまの連絡網・名簿への登録にお使いいただいているほか、個人で教室を経営される際や異業種交流会のための専用番号など、ビジネスユースでもお役に立っています。
また同じ仕組みを応用して、ペットの迷子対策用に「ワンにゃんバー」というサービスもご提供しています。これは、首輪や迷子札に050で始まる専用電話番号を記入するもので、迷子になったペットの発見者から、飼い主に連絡を入れてもらえることを可能とするものです。
斎藤
たいへんユニークなサービスですね。こうした開発のための独自チームがあるのですか。
海野
さまざまなアイデアを社内で公募する仕組みはありますが、特にそうしたチームはありません。公募は結構盛り上がっていますよ。CSRでは、社員一人ひとりの多様性の尊重とともに、やりがいのある職場環境づくりの推進も重要だと考えています。我々の業務のミッションは、お客さまにより高い付加価値を提供することですが、付加価値によるお客さまの歓喜によって実は社員も大きな達成感を得られます。ですから日々の業務の中で、いかに達成感が得られる組織づくりをするかというのも重要な課題だと考えています。

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〔これからのCSR活動〕
自らがCSR活動に参加することで、企業も社員も社会の一員であることを再認識できる。

海野
社会への貢献では、信頼性の高い情報通信サービスの提供によって安心・安全な社会を実現するという最大のミッションがあります。加えて、会社も社員も社会の一員であることを忘れずに、自ら参加して社会に貢献することも大切だと考えています。
社会貢献活動として、秩父棚田再生プロジェクトを行ってきたのですが、今年は4年目を迎えました。これはNPO法人「秩父の環境を考える会」にご協力をいただいている活動で、毎年、社員およびパートナー社員とその家族が大勢、参加し、田起こしから田植え、収穫までを行います。このほかにも、植樹活動なども実施しています。
私自身も参加しましたが、こうした参加型の社会貢献活動は、普段では経験できない貴重な体験となります。また参加後には、全員がCSR活動への興味や意識が向上するのも大きな特徴ですね。
斎藤
参加型社会貢献活動は、重要ですね。参加して汗をかくと心に響く体験となるので、新しい発見やひらめきにつながることがあります。あるアウトドア靴メーカーでは、NPOとコラボして彼らの視点で靴づくりをしたらよく売れたというケースがあります。
海野
不思議とそういう作業を通じてのみ取れる、ある種のコミュニケーションというのがあるのではないでしょうか。コミュニティーは仕事だけでは成り立つものではなく、親しみ感をどう育むかも大切だと思います。皆で1つの目標にチャレンジする共有感は、何物にも代え難い人間成長の財産となります。
まず社員にはCSR活動は難しいものではなく、普段の業務の中で実践しているものであり、さまざまな社内プログラムで気軽に参加もできるということを再認識してもらいたい。そのためにも、人間の本能にフィットするような、体験を通じたコミュニケーションの機会をこれからも地道に増やしていければと思います。それはきっと、自分たちに何ができるのかを考えるきっかけになるはずです。これからも社員にもどんどん気軽に参加してもらいたいですね。
たとえば、ソーシャルビジネスの領域など、斎藤さんからいただいたご意見をヒントに、「もっと我々にできることはないのか」「すべきことは何なのか」研究開発部門からの発案や既存サービスの新分野への展開などを、皆で積極的に検討できる場を増やしたいと思います。そして我々は、本業を通じて社会にどんな貢献ができるかを常に問われているわけですから、NTTコミュニケーションズらしいCSRのあり方を追求していきたいと思います。

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