平成12年2月21日

 

デジタルテレビジョン中継網の開発について



 NTTコミュニケーションズ(略称:NTT Com)は、2003年から開始が予定されている地上波デジタル放送に向けてデジタルテレビジョン中継網の開発に着手しました。
 全国の放送局間をATM(*1)デジタルネットワークで結ぶデジタルテレビジョン中継網を実現するために、ATM伝送装置(ATM-XC(*2))、映像端末装置(VTE(*3))、オペレーションシステムの開発を進めます。

 デジタルテレビジョン中継網では、放送局に設置される回線運用端末装置(ECC(*4))から、直接、中継回線などの運用申込みができ、速度の異なる様々な映像フォーマットの高品質伝送がご利用できるようになります。


1. 開発の背景

 放送のデジタル化は、1996年からデジタル放送を開始しているCS放送に続き、2000年12月にはBSデジタル放送が開始され、2003年には地上波デジタル放送も三大都市圏で開始される予定となっています。
 NTT Comでは、現在のアナログ地上波放送に対して全国の放送局間をマイクロ無線回線で結び、テレビジョン放送中継サービスを提供しています。現在のテレビジョン中継網は、アナログテレビジョン信号の伝送に限られ、回線容量的にもHDTV(*5) 放送、デジタル多チャンネル放送に対応できないため、既存SDTV(*6) はもとより、きたるべき地上波デジタル放送も送れるデジタルテレビジョン中継網の開発が急務となっています。

2. デジタルテレビジョン中継網の特徴


 デジタルテレビジョン中継網は、専用線サービスとして実績のあるATMメガリンクシステムの技術をベースとするATM方式とループ状に接続される光ファイバ網を使います。
 デジタル放送が開始されても当面はアナログ放送とのサイマル放送(*7)が行われること、デジタル映像コンテンツの流通のために回線容量の増大を図る必要があることから、光ファイバを用いたDWDM(*8) 方式による中継網の大容量化を実現します。またデジタル放送では、HDTV、SDTV、配信系(*9)、素材系(*10)など各種用途に応じた速度の映像フォーマットの伝送が求められることから、これらに柔軟に対応でき品質確保ができるATM方式を採用します。
 デジタルテレビジョン中継網は、ATM伝送装置をノードとする中継回線と、このATM伝送装置と放送局に置かれる映像端末装置を結ぶ端末回線と、オペレーションシステムで構成されます。オペレーションシステムがECCから申し込まれた回線運用情報に基づいて、ATM伝送装置と映像端末装置を一元的に制御することにより、放送局にいつでも必要な回線をご提供できます。
 また、このデジタルテレビジョン中継網の発展形態として、IP over ATM(*11)技術により放送局間の画像ファイル転送などコンテンツ流通を促進する基盤づくりも考えて取り組んでいきます。

3. 開発の内容


 ATM伝送装置は、中継網のノードに設置されATM回線の方路切替(クロスコネクト)を行う装置で、映像情報を扱うことから大規模スイッチ、複数の放送局に映像信号を分配できるマルチキャスト、リアルタイムサービスの放送に対応できる高信頼化などの機能を具備します。
 映像端末装置は、放送局に設置され、放送規格のインタフェースをATMフォーマットに変換する装置で、アナログ、非圧縮デジタル映像フォーマットなどのインタフェースを持ちます。
 オペレーションシステムは、ATM伝送装置と映像端末装置の一元的な運用保守を行うもので、放送局からの回線ブッキングに応じて回線を割付予約したり、回線切替を自動制御するなど、使い易く信頼性の高いテレビジョン中継網を実現する上で重要な役割を担うシステムです。
 これらの装置とシステムについて2001年度末までに開発を完了させ、今後のデジタル放送などの試験に備える予定です。

デジタルテレビジョン中継網の構成

(*1) ATM: Asynchronous Transfer Mode
非同期転送方式。53バイトの固定長のセルで情報を転送する方式。
(*2) ATM-XC: ATM- Cross Connect
(*3) VTE: Video Terminal Equipment
(*4) ECC: End Customer Control
(*5) HDTV: High Definition Television
高精細度テレビジョン
(*6) SDTV: Standard Definition Television
標準テレビジョン
(*7) サイマル放送:
アナログ放送とデジタル放送が共存して放送が行われること。
(*8) DWDM: Dense Wavelength Division Multiplexing
高密度波長多重方式。1本の光ファイバに複数の波長の異なる信号を通す光多重伝送方式。
(*9) 配信系:
主として東京の放送局(民放では東京キー局と呼ばれる)から番組を全国の地方局に送ること。
(*10) 素材系:
主として地方の放送局から番組のもととなる映像を東京の放送局へ送ること。
(*11) IP over ATM: Internet Protocol over ATM
ATMネットワーク上でインターネットの通信手順を用いて通信を行う方式。



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